研究
十年近く前、ひきこもりだった時、よく夜間にだけ外出して近所を散歩していました。 そんな中、何気なく住宅街を歩いていると、何の変哲もない古い家に、こんな看板が架かっていたのです 「垂直離着陸飛行研究所」 思わず二度見しましたね。 こんな裏ぶれた路地裏の家に、何ともそぐわない看板。 しかも、どうやら大した庭もなさそうで、どんなに小型の垂直離陸機でさえ発進できそうにない。 しかし、と私は思ったのです。 こんなところにひっそりと在野の天才科学者がいて、日夜、垂直離着陸戦闘機の設計、研究をしていることもあり得るかもしれない。 はたまた、この古い家は世を忍ぶ仮の姿、実は世界の兵器企業幹部が日参する秘密研究所ではなかろうかと(秘密なら、看板なんか掲げないか……)。 しばし看板の前で佇みながら、妄想が次々と湧き出してくるのでした。 いやあ、私が住んでる二十三区の某区はなかなかDEEPなスポットであるな、と独りごちながら感慨深く立ち去ったものです。 あの研究所、まだあるのかしら。 今度訪問してみようかな。 実はすごい研究所だったらどうしよ?!