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11月, 2013の投稿を表示しています

漢籍

随分前の項で、父方の祖父が国文学者だったと書きましたが、私自身は漢文・古文ともちっともわかりません。 というのも、高校を一年で中退して、ちゃんとした教育を受けていないから(通った高校一年時も、まったく上の空で授業なんか聞いていなかった……)。 漢文はレ点くらいしかわかりません。 古文は江戸時代くらいの本になると大分読めるようになりますが、それ以前は難しいですね。 しかし、最近になって、漢文や古文の素養がないのを残念に思うようになりました。 鷗外なんかは欧羅巴の学問知識を身につけ、小説にも独・仏・英の横文字がバンバン引用されますが、学生時代には依田学海に師事し、漢籍の手ほどきを受けておるのです。 岡本綺堂も『世界怪談名作集』を翻訳するほど欧米の怪談に精通していますが、自作の怪談には、様々な漢籍から面白い話を換骨奪胎し、名作怪談を幾つも作り上げたのは有名です。 欧米の学問を盛んに吸収するとともに、伝統的な漢文もしっかりわかっている。 これが明治人特有の優れたバランス感覚なんでしょうね。 私も漢文、古文をすらすらと読めるようになりたいなあと思っておるのですが……勉強してももう遅いかな。

走破

前々項でダイエットをしていると書きましたが、そのために再開したジョギングが、すっかり趣味として根づきました。 やる前は「あ~、めんどくせ~、今日もジョギングに行かなきゃいけないのかよ。走りたくねえ~」って状態なんですが、一旦外へ出ると、気持ちよくて仕方がない。 夜に走ってるんですが、ジョギング中から終わって寝るまでは、日々の不安や鬱屈を忘れることができます。 ブログには書けないような不安が日々脳内に渦巻いているわけですが、ジョギング後は走り抜けた風と共に吹き去られたよう(すみません、柄にもなく赤面的かっこいい表現をしてしまいました)。 まあ、週四、五回のジョギングなんて、暇人ゆえの趣味なような気もしますが……。 明日も走るぞ! さあ皆さんもジョギングにレッツラゴー!(古い……)

茶漬

たった今、小津の『お茶漬けの味』を観終わりました。 内容を簡単にまとめると、「お見合い結婚の末に冷え切った夫婦が、仲直りしてお茶漬けを一緒に食う」。 これでは身も蓋もないですね……。 名作である『東京物語』『麥秋』『晩春』あたりと比べると、出来はちょっと落ちますが、小津らしい味わいがあります。 佐分利信のもっさり感がいい。 そして淡島千景はやっぱりかわいい。 そしてクスッとくるところも多いです。 鶴田浩二に連れられて佐分利信が入るパチンコ屋(その店主は笠智衆)の提燈に、「甘辛人生教室」。 いやー、昔パチンコで身を持ち崩しかけた私としては、「そうなんだよなあ」と。 で、鶴田浩二の行きつけのトンカツ屋が「カロリー軒」。 この店名は、小津の他の作品でも出てくるそうですが、小津初心者の私はハマりました。 また、噓をついて女連中で修善寺に行った場面では、 木暮実千代「(夫である佐分利信を評して)鈍感よ。鈍感さん」 淡島「あんたうまいことを言うわね」 ……いや、そんなうまかねえし。 以前は黒澤の全作品を観て、断然クロサワ派だった私ですが、小津の世界にも段々はまってきました。 佐分利信「お茶漬けだよ、お茶漬けの味なんだ。夫婦はこのお茶漬けの味なんだよ」 ……しみるねえ。とりあえずこんな時間だったので、ふたりがお茶漬けをうまそうに食ってるのを観て、腹が減りました。 お茶漬けでも食うかな。 独りで……。

下戸

木枯らしが吹きすさぶ今日この頃、日本酒でも一献、って感じですが、何故かすっかり酒が飲めなくなりました。 以前は全然大丈夫だった杯数で、「え、こんなに酔っちゃった?!」という驚きが。 思い当たる原因――といえば、ダイエットくらいしかありません。 夏に実家で食いまくったせいで、お盆明けには体重が71キロを超えていました。 九月になってから一念発起し、筋トレと週4~5回のジョギングをやって、現在64.5キロを割るところまできたんですが……。 試しにネットで「ダイエット 酒 弱くなる」と検索してみると、個人ブログで同じような感覚を訴えてらっしゃる方が散見できました。 どうしてダイエットをすると酒に弱くなるのか、その機序にまでは触れられていませんが。 今度医者に訊いてみようと思います。 まあ、酒に弱くなって、自然と飲み屋から足が遠のけば、ダイエットもぐんぐん進むわけですが、それにしてもたまにはグイッと飲みたいなあ……。

颶風

今年は台風が沢山来ましたね。 ということで、『台風クラブ』をさっき観ました。 ATG映画は結構好きで観てましたが、これは初見。 で、感想はというと、うーん、不思議な映画でした。 深読みしたい人には材料に事欠かない映画だと思いますが、それをやっちゃ野暮だろうな、と。 そして、漂う独特の雰囲気に「ああ、ATGの映画だね」と深い安心感を得たのでした。 しかし、「ああ、ATGだね」とひと括りにされてしまうこと――それは、ATGという映画界の言わばアウトサイダーであったものが、作風としてのひとつの徒党めいたものへと変貌し、インサイダー化した兆しだった。 そしてそれはATGの終焉を意味していた、と言っても過言ではないかもしれない。 過言かもしれない。 この映画を観てびっくらこいたのは、三浦友和が爽やかじゃない! デビュー時から現在に至るまでの三浦友和といえば、いつまでも爽やか、人畜無害なイメージですが、ここではダメな数学教師を演じていてハマっています。 最初のほうの授業中の台詞、「ちゃんと聞いとれよ、百姓の子供たち」には笑っちゃいました。 ぼくらが小さい時分には、もっと過激なことも教師が言ってたなあ(ここには書けないくらいの)、とちょっと懐かしく思ったり。 女子陣では、大西結花がかわいいですね。 あと、佐藤浩市って最初のクレジットでは名前があるけど、出てたっけ? ATGのキレた工藤夕貴が観たい方は、『逆噴射家族』も合わせてどうぞ。 話はアレですが、エンディングテーマがめっちゃかっこいい映画なので。

鬱々

南雲堂さんから『本格ミステリー・ワールド2014』内の「作家の計画 作家の想い」の原稿を頼まれたので、書いて送りました。 読んでもらえればわかりますが、文頭で断っている通り、糞面白くもない悲観的でローテンションな文章を綴っております。 まあ、新作の出版が決まらない現状を反映した、焦れに焦れたダウナーな文章であると、読者の皆さんに判断していただければいいかなと。 私の糞面白くもないコラムが載ってますので、『本格ミステリー・ワールド2014』、お買い上げお願いしまーす。