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12月, 2013の投稿を表示しています

瘋癲

ハーシェル・ゴードン・ルイス監督の『2000人の狂人』をDVDで再見しました。 ……クリスマスイヴを前にして、何をやってんだ、私は。 いや、何故か行きつけのレンタル屋さんで、H.G.ルイス作品をごそっと入荷してたもんで、つい。 物語は観ていない人にも結構知られていると思うので、割愛しますが、正直現在の目から見ると退屈かも。 南部のカラッと乾燥してレイドバックした雰囲気の中、殺戮が起きる(後のトビー・フーパーの『悪魔のいけにえ』に通ずるものがありますね)というのは、物語の異常性を際立たせていてよいんですが、如何せん演出まで弛緩しちゃってるような感じので……。 主人公の女性が逃げる際、途中の川でスカートをたくし上げて腿を洗うところを念入りに撮っているのは、ルイスの「血みどろだけじゃないぜ、男性諸君! ちゃんとお色気もあるでよ!」という商魂たくましさが表れているようで微笑ましかったです。 小学校高学年頃、私が持っていたホラー映画のムック本に「H.G.ルイスはG.A.ロメロと双璧を成すホラーのパイオニア」みたいなことが書いてあった記憶があるんですが、それはロメロに失礼です。 まあ、最近のロメロもたいがいですが。 ここで個人的な告知ですが、GEOの東京某店で『秋刀魚の味』を借りっぱなしにしている君、早く返しなさい! わしが観れんじゃないか!

歳末

すっかり年の瀬になってきましたね。 先日発売された南雲堂さんの『本格ミステリー・ワールド2014』で、「来年に新作が出なかったら、もう物書きはやめちゃる!」と自棄になって宣言した私ですが、来年はどんな年になるんでしょうね~?? 宣言は実行されてしまうのか、それとも回避されるのか?! ちなみに、いくつか見た来年の占いは、良い事は書かれていませんでしたが……。 仕事の話題をこのブログで沢山できるようになればいいんですがね、と思うクリスマス前の倉野でした。 皆様、寒さが厳しくなってきましたので、くれぐれもご自愛くださいませ。

綺堂

遂に買っちゃいました! 作品社の『岡本綺堂探偵小説全集』全二巻! 『半七捕物帳』シリーズや怪奇小説は全部持っているんですが、綺堂が物した探偵小説は今まで読む機会がなかったんです。 で、復刻出版されたと聞き、長らく書店に並んでいるのを指を銜えて見てたんですが、自分へのクリスマスプレゼントに今日遂に! 1冊ななせんえんなり~! いや、でも、いい本にはお金に糸目をつけずに払う性質なので、大満足です。 持ち歩くには、でかくて分厚いので、ゆっくりと寝る前に蒲団の中で読み進めるとします。 中公文庫の『岡本綺堂読物集』第四巻『探偵夜話』も出たので、併せてチェックしないとな。

一文

ちくま文庫版鷗外全集第一巻を読了しました。 文豪の作品というのは、力瘤を作って書いた力作ももちろんいいですが、肩の力を抜いてすっと書き流したような作品に真骨頂が現れるような気がします。 漱石なら長篇の諸作品に対し、『文鳥』とかね。 鷗外なら、全集第一巻に入っている『懇親会』『大発見』『鶏』などの短篇が後者に当たる気が。 『懇親会』は、新聞記者との懇親会に参加して、酔っ払った記者に喧嘩を吹っ掛けられて怪我をした、って話。 『大発見』は、欧米人でも鼻をほじるかという問題を探求しつづけ、やっと大発見する話。 こういった肩の力を抜いた物は、粗筋が一文で書けるというのが具合のよい目安である感じがします。 あ、『金毘羅』を再読して、また、ずうんと重い気持ちになりました。救いはありますが。