投稿

2014の投稿を表示しています

再会

8年ほど前に、あの人と初めて会った喫茶店――降誕祭前夜に、思い出の喫茶店で再会しました。 といっても浪漫的な話ではなく、編集者さんとクリスマスイヴに打ち合わせたわけで。 短篇の改稿のことだったんですが、話し合っていると、的確に物語の弱点を突かれるんで、さすがやなと思います。 でも、おかげで次の短篇は、いいものになりそうです。 年明けに完成作と言えるものを、ピシャーッと提出したいですよ。 全国に僅かにいる倉野マニアの方々、雑誌掲載を楽しみにしててくだちい。 ではでは、またんご。

団円

今年のNHK大河ドラマ『軍師官兵衛』が終わりましたな。 黒田長政ファナティックの私は、長政公がどう描かれるか注視していたのですが、朝鮮出兵以後の徳川の天下に賭けた長政公の姿は、おおむね納得のいく描き方で、安心しました。 関ヶ原では水を得た魚のように、小早川、吉川に調略を行っているのも丁寧に描かれていたし。 欲を言うなら、本戦の島左近との激戦も描いてほしかったですけどね(奮戦する島左近を討つために狙撃隊を送り、それを契機に一気に石田本陣の壊滅へ追いやった武功です)。 三成に陣羽織を着せ掛けるところもあったし、満足(しかし、あそこの三成は、「かたじけない……」と、しおらしくしてほしかった笑) で、合戦後、長政公ファンなら誰もが固唾を吞んで見守ったはずです、アレはあるのか?!と。 そう、父如水から言われる「そちの左手は……」のくだりです。 このくだりは後世の拵え事であることがわかっていますが、いまだに如水信者は長政公を貶めるために言い立てるのでウザいんです。 そして本編で、やっぱりありました、そのくだり。 観ながら内心、「あちゃー」と思ったんですが、ここからの描き方が出色でした。 家康との会見で、如水は己の器量が家康には負けていることを知り、潔く負けを認め、長政公を後に呼んで、「関ヶ原でお前は俺を超えたな」と言わせるのです。 これが如水の偽らざる心境の変化ではなかったでしょうか。 至極公平な描き方で、脚本家の方に喝采を送ります。 (如水を演じた岡田准一氏も、「『そちの左手』のくだりは史実ではないでしょう。あの如水なら、息子の大手柄を褒めてやったはず」とインタビューでも語っていたので、岡田氏にも拍手)。 こうして『軍師官兵衛』は親子の葛藤の物語でもあり、成長した息子との和解、というテーマが一本通っていたことを思い知らされました。 いやあ、今年の大河は長政公派の私にも大満足でした。 ではでは、またんご。

叫喚

やっとの思いで、今更『スクリーム4』を観ました。 このDVD、TSUTAYA限定レンタルだそうで、近所のTSUTAYAが潰れて久しい私は、なかなか観る機会がなかった……。 で、地元に改めてTSUTAYAがオープンしたんで、早速借りてきた次第。 キャストですが、準主役でエマ・ロバーツが出ているのがまずポイント。 彼女は、我が愛するL.A.Gunsのベース、Kellyの義理の娘なんですよ。 内容は、というと、うーん、まあそれなりに楽しめたかな、という感じ。 ウェス・クレイヴンとケヴィン・ウィリアムソンが再びタッグを組んだんですが、可もなく不可もなくかなあ。 まあ『スクリーム3』よりは面白いです。 第1作のランディを髣髴とさせるような映画オタクが出てきますが、ランディのキャラ立ちには遠く及びません。 というか、登場人物が全体的にキャラが弱い気が。 そのせいで、面白味と意外性も3割減な感じ。 と、色々ケチをつけたような格好ですが、あの監督と脚本家タッグが復活したのは素直に嬉しかったので、また『スクリーム5』を楽しみにしていますよ、と。 ではでは、またんご。

好転

久々に担当さんと打ち合わせたのである。 ふたつ怪奇短篇を送ってたんですが、そのうちひとつが改稿次第で、また雑誌に載るかも?って感じっす。 当面は池袋を舞台にした、綺譚を書いていく所存なり。 ペンディングになっている長篇についても、しっかりお願いしてきましたよ。 担当さんからは、「状況が変わってきているので、まだ諦めなくていい」とは言われました。 来年は短篇に長篇にと八面六臂の活躍をしたいなあ、と妄想する倉野氏なのでした。

安息

久々に音楽ネタを。 デビュー作に巻頭歌を拝借したBlack Sabbathは以前は大好きなバンドでした。 もう毎日ほぼ一日中聴いてましたね。 あのトニー・アイオミが奏でる、どよーんとしたヘヴィリフを聴いていると、頭がぽやーんとして、いい気分になるのです。 オジーからトニー・マーティン時まで、全アルバムを揃えていましたが、お金に困った時に全部売っちゃったのが悔やまれる。 まあ、最高傑作は、『Snowblind』を収録した『Vol.4』、と言いたいところですが、やっぱり『Master of Reality』かな。Doomyとは何ぞや、という魅力が凝縮された一枚です。 Sabbathに影響を受けたバンド群、Witchfinder General、Cathedral、Candlemass、Saint Vitus、Solitude Aeturnus等々も聴きましたが、これらのバンドで真底すげえ! と唸ったのは、Cathedralと元PANTERAのPhil Anselmoが結成したDOWNです。 Cathedralは元Napalm Deathのリー・ドリアンが結成したバンドで、激速グラインドコアをやっていたND時代とは激変した、1stでの世界最遅とも称されたズルズルで耽美的なヘヴィネスが魅力です。 ではSabbathっぽいか、と問われると、ちょっと疑問な気もしますが。 2nd以降ではよりSabbath的なハードロックに接近したんですが、ちょっと退屈に感じられて……。 あ、でも2ndの『Ride』は名曲ですよ! で、一方のDOWNですが、これは最高。凡百のSabbathフォロワーを軽く突き放している。 Doomyなリフに、ノリのいい後打ちドラム、そして何と言っても南部の埃くさい空気が伝わってくるような乾いたグルーヴを絶妙にミックスし、ノリにノレます。 Philは最近は喉が荒れておるようですが、額に青筋が立つんじゃないかという特有のシャウトもキメてくれます。 まあ、この辺のヘヴィミュージックがお好きな方は、当然チェックしまくっているでしょうが、未聴な方は是非。 思えば、デビュー作を出す時に、巻頭歌を拝借した関係で、当然文春の側からオリジナルSabbathの面々に著作権料をお支払したんですが、それが私の唯一の自慢です。 メタル伝説の御大

苦味

小津の遺作『秋刀魚の味』を二十年ぶりくらいにDVDで再見。 まあ、話は小津映画定番の「娘を嫁にやる父」の話なんですが。 コミカルな味と哀しみが絶妙にマッチしています。 漢学の先生で、今は支那そば屋の親父に落ちぶれている東野英治郎と、行き遅れた(死語)娘の杉村春子の親子が何とも言えない悲しさを漂わせ。 一方、加東大介と笠智衆のトリスバーでの「日本がもし戦争に勝っていたら」という馬鹿話にはクスリとさせられます。 やっぱり加東大介は、コミカルな役をやらせたらうまいね。 笠智衆の末の息子が三上真一郎(『仁義なき戦い』の新開組組長ですよ!)なのも、ポイントが高い。 一点惜しいなと思うのは、岩下志麻がヒロインにしては今ひとつ存在感が立っていないことでしょうか。 やっぱり、同じような役を数々務めた原節子の存在感には劣るかな……うーむ。 しかし、同工異曲的な筋立てで、しかも淡白な物語ながら、しっかり魅せる小津安二郎の手腕には脱帽です。 またレンタル屋に通おっと。 では、またんご。

打破

2014年も、残すところ少なくなってきましたな。 金曜に新しい37枚の掌編を脱稿し、担当さんに送りました。 12月に担当さんとあって、6月に渡した短篇共々、打ち合わせをする予定だす。 「つんどく!」に掲載された短篇『双子』で、雑誌掲載にすっかり味をしめたので、また何かの媒体に載ればいいなと思っとります。 そして……数年前に脱稿し、ペンディングになっている夷戸シリーズの新作長篇『弔い月の下にて』の状況がどうなっているのかも、担当さんに突っ込んでみたいと思っとりますわ。 年末に状況を打破する、いいニュースが聞きたい倉野氏なのでした。 では、またんご。

悲哀

また発表するあてもない怪奇短篇を書いておる倉野氏なのである。 いえね、一応物書きな以上、修行の一環としてこつこつ書いていかねばなあと思っておるわけで。 また精神医学ネタの怪奇小説ですよ。 どこかに出せればいいけれど、たぶん未発表のまま打ち捨てられると思う。悲しい。 でも書くのである。 こつこつしこしこ書くのである。 あ、そういえば、ちくま文庫版『森鷗外全集2巻』が品切れで、どうしても読みたかったので、初めてAmazonのマーケットプレイスというところで買ってしまった。 収録作の長篇『青年』は既読だったけど、その他の一筆書きで、すっと書いたような短篇に魅了されました。 やっぱ鷗外は短篇が面白いや。 さて、話は戻って、もし未発表の短篇がたまったら、Web上にでも公開しようかと思っています。 どうなるかわからぬけど。 では、またんご。

巨星

ふー、小宮豊隆著『夏目漱石』を読了。 上巻はいまひとつ乗り切れず、中巻では「倫敦時代とその直後の漱石は決して精神病者ではない」という説に苦笑しましたが、『猫』を書いて作家として出発した以後は、すこぶる楽しく読めましたよ。 人生、生と死、その他もろもろの人間にまつわることに思索を巡らし続け(まあ、小宮氏の解釈なんですがね)、作品に織り込み続けた漱石には、やはり敬服せざるを得ません。 中巻の解説でも触れてある通り、小宮氏はもうちょっと妻鏡子さんの肩を持ってやってもいいんじゃないか、とは思いましたが(漱石は決して一時的に精神錯乱に至ったのではなく、周りの無理解が悪かったと説いている点で)。 小宮氏をはじめとして、森田草平、鈴木三重吉などの初期からの弟子が、漱石を理解せず、彼から次第に離れていった点を厳しく自己批判している点は、好感が持てました。 文壇という宇宙で夏目漱石は今も光彩陸離たる巨星です。 私などは宇宙空間に漂う塵にも等しい存在ですが、思索し続けるという姿勢、精神の高みへと歩み続ける姿勢を少し見習わねばな、と思わされました。 と、被影響性の高い倉野氏なのでした。

出羽

イメージ
公私にわたる最近の鬱屈から抜け出すために、金曜夜に新幹線に飛び乗ったわけで。 行先は、後輩が住む山形。 2年前に山形に行った時は、山寺を観光したので、今回は思いつきで米沢城観光と洒落込みました。 ノリノリで上杉神社に参詣する倉野氏。 あ、今は私、モヒカンではなくクリクリ坊主です。 しかし、引いたおみくじが最悪だった……。 末吉で、悪いことばかりしか書かれてない。 気を取り直して、米沢牛!! DarkthroneのTシャツを着て、米沢牛のステーキを頬張りました。 後輩一家にはよくしてもらったし、空気はうまいし、やっぱ山形はいいところや~! 構想だけ纏まっていて、手をつけずにいた短篇を執筆する気力が湧いた倉野氏でした。 出羽、またんご。

古書

神田古本祭り最終日に行ってきた! すごい人出でした。 『ちくま版鴎外全集2巻』と、ヴィルヘルム・ライヒの『性格分析』を狙ってたんですが、出会えず……。 質素に缶珈琲を飲んで帰ってきました。 いやー、背表紙をずっと見てたら目が疲れた。 今度は人出があまりない時に、また出直すかな。 では、またんご。

漢堡

最近、ハンバーガーを頬張る夢ばかり見ます。 特に入眠中にお腹が空いているときは覿面。 しかし、マックなんてもう10年以上行ってないなあ。 今回書きたいのは、そんなことではなく、読書に関する記憶です。 私は読書をすると、その本が面白かろうがなかろうが、読了するとすぐ忘れてしまう。 断片的に憶えていたりはしますが、ほとんどきれいさっぱり忘れる。 寝る前に読書する時は、眠剤を入れているので、そのせいもあるかも。 何でそんなことを急に思ったかというと、読書中の評伝『夏目漱石』で、小宮豊隆が『道草』ではこういう記述がある、『永日小品』にはこれこれが――と引用するのに、すげえと思ったからなんです。 まあ、小宮豊隆は漱石の弟子だから、著作を死ぬほど読み込んでいるだろうし、こういうことも不思議ではないですが……。 その点からいうと、アンソロジストと呼ばれる方々はすごいですね。 東雅夫さんの『文豪怪談傑作選』は全巻読んでいますが、内容以前にそのエネルギーがすごいなと。 各巻のアンソロジーに入れるために、その作家のほとんどの作品を読み込んでいるわけでしょう? まずその読書量がすごい。 そしてメモとかは取ったりするでしょうが、「この作品は使える、これは使えない」と憶えているわけでしょう? うむむ、どういう脳の構造になっているのか。 脳の中にインデックス付きの書庫があるのか。 自分のように、記憶力が乏しすぎる人間にはとてもできない仕事です。 ブログを書くようになってからは、読了後の感想をここにしたためるので、だいぶん憶えているようになりましたが。 それ以前は、ネタになりそうな部分にいちいち付箋をつけてました。 で、後からその付箋部分を読み返して、「なんでこんなところに付箋をつけたんだろう?」なんてね。 乏しい記憶力に関して厄介なのは、自分で創作した時に「これってもしかしたら昔読んだ小説を、意識的には忘れていながら、無意識に取り入れている、つまり知らず知らず(?)パクっているのでは?」という強迫観念に襲われることです。 恐るべし。 では、またんご。

竹鶴

『花子とアン』に続いて、新しく始まった朝の連ドラ『マッサン』も楽しく観ています。 エリー役の女優さん、私が若かりし頃に恋していた米女優、メアリー・スチュアート・マスターソンに似てますね。 「メアリー・スチュアート・マスターソンって誰?」って方がいたら、是非『恋しくて』を観ていただきたい。 エリック・ストルツ、リー・トンプソンと共演した、80年代青春映画の金字塔のひとつです。 ボーイッシュなワッツを演ずる彼女の魅力が(そういえば、この映画は主要キャストの役名が、ワッツ、キース、アマンダ・ジョーンズと、ストーンズにちなんでますね)、いかんなく発揮され、不惑のオッサンがいま観ても、胸がキュンキュンします。 あと、『フライド・グリーン・トマト』もいいですよ。 女性ふたりの友情物語ですが、ミステリー的な仕掛けもチラリとあって。 ああ、観なきゃいけないドラマがいっぱいや~。 では、またんご。

評伝

漱石門下四天王のひとり、小宮豊隆が書いた、評伝『夏目漱石』を読んでいます。 小説でも随筆でもないものを読むのは、いつ以来だろう。 で、暇を見て、上巻のほとんどをつらつら読み終わったんですが……うーん、複雑な心境です。 小宮センセイが漱石を崇拝しているのはよくわかるんですが、あまりにも謹厳、高邁な思想を持った人物として描かれているので、些か辟易してきます。 特に、若い頃の漱石が、友人子規に、義太夫口調や講談口調で洒落て手紙を書いていたことを、「臭味や厭味に充ちて」いて、「趣味が幼稚」とまで言い切っているのは、何だかなあと。 むしろ、若き漱石は、そういった軽妙洒脱な江戸っ子気質を多分に持った、愉快な人物だった、と何故見られないのだろう。 敬愛する自分の漱石像には合致しないので許さん、ということなのでしょうか。 とにかく小宮豊隆の主観に縛られた、堅苦しい理想的解釈のオンパレードなので、中巻・下巻は、小宮の解釈は斜め読みして、漱石がこう言った、こう手紙に書いた、という史料的な部分を重視して読むことにします。 果たして読み通せるんでしょうか? では、またんご。

惨劇

イメージ
先週の金曜日、CS争いへ最後の戦いを続けるベイスターズを応援すべく、ハマスタへ行ってきました。 今年は球場での観戦は、4回しか行けなかった……。 勿論、ケーブルテレビでしっかり観てましたけどね。 試合前の様子。 ベイのNew Eraキャップ、タオル、今年のスターナイトのレプリカユニフォームを着込み、気合十分です! しかし、しかしですね……絶対目にしたくない惨劇が起こったのです。 薄っすら予感はあったんですが……。 そう、讀賣の胴上げを見てしまいました……。 悔しい、悔しすぎる! でも、まあ、敵チームとはいえ、胴上げを生で見るなんて、そうそうないことだと思うので、貴重な体験をしたな、と。 この悔しさを糧に、来年こそは、ハマスタでキヨシを胴上げしてほしいです! そのために私が望むのは、モーガン先生の電撃復帰。 彼はやっぱり必要ですよ。 ムードメーカーとしてもそうだし、3割近く打てますしね。 ブランコの去就(中日に復帰するのでは?)が一部で囁かれていますが、もしそうなったら、ブラゼルを是非取ってほしい。 これはまあ、私が大好きな選手だから、ってだけですがね。テヘヘ。 今年はとりあえず4位を死守して、来年は頂点に立つぞー!! 勝つぞ、横浜! 倒せ、讀賣!

影男

題名通り、乱歩の『影男』再読。 読んでみて、「あれ、これってこんな話だったっけ?」と戸惑いました。 どうやら『大暗室』と記憶が混ざっていた部分があったみたい。 物語は、影男の異名を持つ正体不明の青年が、人生の裏街道を徘徊して、金持ちのゆすりのネタを見つけたり、別天地のような謎のパノラマ園で遊んだりしているうちに、以前知恵を貸してやった殺人請負会社に狙われ……という話。 はっきり言って、筋があるようなないような、とりとめのない話ですが、いかにも乱歩といった感じで楽しめました。 戦前の通俗物に比して、文体がぐっと現代的になっています。 しかし、ある部分だけ、会話文の後に(笑い)と書いてあるんですが、乱歩どうしちゃったんでしょ? それが妙に気になりました。 乱歩的と言いましたが、サド・マゾヒズム描写から始まったり、お約束のパノラマなど、題材は乱歩的なのに、そんなにネトネトせずにアッサリ風味なのは、乱歩のお年が影響しているのでしょうか。 でも、意外におすすめです。 では、またんご。

悪夢

ギターを弾いていたら、鼻血が止まらなくなる悪夢で目が醒めました。 ギターを弾く夢を定期的に見ます。 学生時代、遊びでギターを弾いていました。ヘタクソですが。 たまり場に置いてあったフォークギターでSlayerとか弾いてました。 で、自分のギターを買ったわけです。 当時、Black Sabbathのトニー・アイオミに憧れていたので、ギブソンSGを買いたかったんですが、お金がなかったので、エピフォンで妥協して。 それが段々弾く機会が少なくなって、今の部屋に引っ越した8年前に、クローゼットの奥にギターを幽閉してしまいました。 それからです、定期的にギターを弾く夢を見るようになったのは。 今日は、大好きなL.A.Gunsの面々とセッションをしている夢でした。 これは、クローゼットの奥から、エピフォンのギターが「出してくれ~! 俺を弾いてくれ~!」と悲痛に叫んでいると解釈してよろしいでしょうか? やだなー、こわいなー。 明日、新しい弦を買ってくるかな……。 では、またんご。

豚児

前回が音楽ネタだったので、今回も。 この世で一番好きなバンドは――と問われれば、私は迷わず答えます。 Dirty Rotten Imbeciles(通称D.R.I.)と。 この方々は、80年代に大きな盛り上がりを見せた、スラッシュメタルとハードコアの垣根をぶち破る、クロスオーバーハードコアムーブメントの先鞭をつけた偉大なバンドです。 1stアルバムはとにかく青春の無軌道な暴走をそのまま音楽化したような、ショートカット・ポンコツ・ハードコアをやっておりました。 聴いていると自然と笑みが漏れてくるような、ハチャメチャな楽曲の数々。 1分足らずの曲が30曲ほど次から次へと繰り出され、「No sense」ではブラストビートまで披露しております。 とにかく速い、速すぎる! 某B!誌で確か伊藤政則氏にとんでもない点数をつけられたのも、勲章でしょう。 2ndが、一般的には最高傑作でしょうか。 個人的にも、このアルバムが一番好きですね。 ちょっぴりへヴィさを増し、ほんのりメタル化しています。 理屈抜きにかっこいい! で、3rdでその名も「Crossover」というアルバムを発表し、クロスオーバーの盟主となるのですが……うーん、この辺りから個人的には退屈になってきます。 ハードコアバンドがメタル化すると退屈になる傾向があるような。 冒頭の「The Five Year Plan」は確かに超名曲ですが……それでもなんか違う。 その後のアルバムもいいことはいいんですが、自分的にはパッとしません。 楽曲のイントロも冗長化を見せ、「昔みたいにさっさと曲に入らんかい!」と言いたくなります。 あ、「Definition」アルバムの「The Target」って曲だけはすごく好きですね。 地味な曲ですが、アルバムのフィナーレを飾るにふさわしい雰囲気があって。 しかし、しかし、これで死んでしまうD.R.I.ではありません。 1995年に「Full Speed Ahead」アルバムを発表。 「全速前進!」のアルバムタイトル通り、1曲目「Problem Addict」からカッ飛ばしてくれます。 へヴィなミッドテンポの曲もありますが、リフに工夫が凝らされているので、飽きずに聴ける。 個人的にはメタル化以降のアルバムでは、これが最高傑作だと思います。

鋼鉄

音楽は、クロスオーバーハードコア、昔のブラックメタル、スラッシュメタル、ヘアメタル、初期グラインドコアが好きな私なんですが……最近ハマってしまいました。 BABYMETALに。 きっかけは、「なんか日本のメタルアイドルユニットが、ソニスフィアに出たらしいよ」って噂を聞いて、YouTubeを見たこと。 いや、すごいのなんの。 欧州から集結した何万というメタルファンを前に、臆することなく、まだあどけないお嬢ちゃんたちがパフォーマンスしとる! 一発でノックアウトされました。 それからはYouTubeで動画を観まくってます。 特に好きなのは、「ギミチョコ」「catch me if you can」ですね。 あと、アホっぽいけど「4の歌」もいい! スラッシーな轟音リフに、キャッチーなボーカルがのる楽曲を、彼女らにはどんどん作って欲しい、ってのが願い。 ライヴ観たいなあ……できれば海外のフェスで。

蛞蝓

つんどく!vol.4、絶賛発売中です! どなたかよろしければ、Wikipediaの更新もよろしくお願いいたします。 さて、中公文庫の『潤一郎ラビリンス 犯罪小説集』を読了しました。 谷崎を読むのは、『武州公秘話』『怪奇幻想倶楽部』『分身物語』に続いて4冊目ですが、これが一番面白かった! 乱歩に激賞された『途上』よりも、個人的には『柳湯の事件』が100点満点でした。 深夜の弁護士事務所に飛び込んできた絵描きの青年。彼は同棲する愛人との関係と、奇妙な犯罪を物語るーーという話なんですが、怪奇幻想臭が充満していてたまりません。 特に、深夜の柳湯の奇怪な雰囲気と言ったら! また特筆すべきは、乱歩の盲獣の先を行く、触覚的快感を前面に打ち出していること。 ヌラヌラ、ベタベタしたものへの主人公の耽溺が、嫌悪と快さをもたらします。 怪奇幻想文学がお好きな方は是非! 『私』も、語り口の妙が探偵趣味を引き立てていて、goodです(この作品、前に何かのアンソロジーで読んだ気がするけど、思い出せない……錯覚かしらん?)。 『前科者』と『或る調書の一節』は生来性の犯罪者であるサイコパスも、実はこのような葛藤を抱いているのかもーーと思わせて、唸らせられます。 いやー、大満足の一冊でした。 次は乱歩『影男』を再読です。 では、またんご。

告知

既にAmazon他でご存知の方もいらっしゃると思いますが、別冊文藝春秋電子増刊「つんどく!」vol.4に、私の短篇『双子』が掲載されます! 初めての短篇、初めての怪奇小説です。 気合い入ってます! 8月29日発売ですので、皆様ご一読ください。 3年ぶり?の復活作です。これからは性根を入れ換えて、短篇発表でコツコツと知名度を上げたいと思っています。 やったるで~!

命名

小説の登場人物の名前は、割と適当につけちゃう倉野です。 それなりにこだわってつけたのは、数人。 夷戸は精神分析用語のidからつけたのは、まるわかりですね。でも下の名前はテキトー。 ホーエンハイム教授は、パラケルススの独逸語名から。 あと、羽賀美菜さんは、『墓地裏~』が吸血鬼の話だったので、『吸血鬼ドラキュラ』の登場人物、ミナ・ハーカーから。 数年間編集者さんに渡しっぱなしにしてある長篇には、悪魔的な人物が出てくるんですが、その悪魔っぽいイメージにぴたっとくる名前はないか、と思い悩んでいたところ、横浜ベイスターズの捕手に黒羽根がいるのを思い出して。 「黒い羽根……、うーん悪魔っぽい!」ということで、その人物は黒羽根さんになりました。 それ以来、小説の主人公は、ファンであるベイスターズの選手の姓名をごちゃごちゃに組み替えて使ってます。 テキトーさもここに極まれり。 今度出る短篇の主人公もその命名法です。 って、もう少しで文藝春秋さんから、雑誌発売のアナウンスがあると思うので、詳細情報はもうちょっと待ってくださいね。

校正

イメージ
今日短篇のゲラが届きました。 ゲラだけに、ゲラゲラ笑いながら修正をします。 (古賀新一氏の傑作・『妖虫』より) それではこぴっと修正をがんばりまーす!

悪漢

ちくま文庫版『芥川龍之介全集Ⅰ』読了。 再読のものがほとんどでした。 しかし、再読してもやはり昂奮が新たになったのは、中篇の『偸盗』ですね。 盗賊に身を落とした兄弟と、盗賊の首領の女の三角関係を軸に描いたピカレスクロマン。 文体、筋立て、アクション、すべてがまったく古びていません。 「現代小説の名うての書き手がこれを書いたよ」と言われれば、そう信じてしまいそうな圧巻の出来です。 「芥川って、鼻とか芋粥でしょ?」と、国語教科書の範囲で芥川を判断している人は、まず『偸盗』を読んでほしい。 彼の創作能力の電撃のような一閃に、戦くことでしょう。 しかし、芥川は「~なのであろう、~」って文章が好きですね。 そこは好みが分かれるかもしれません。 次は、綺堂の『古今探偵十話』を読みます。

採用

ついに……ついにこの日が来ました! 私の80枚の怪奇短篇『双子』が、雑誌に採用されました。 短篇は大の苦手で、今まで没を繰り返してきましたが、やっと陽の目を見る作品を書けたことに感無量。 雑誌というのは、文藝春秋から出る某誌なんですが、版元が正式なアナウンスを出すまで、公表は控えておきます。 校正もがんばります! 数年ぶりの表舞台やー!

疼痛

裂肛にまた苦しんでおるわけです。 つまりは切れ痔。 一字変えて、烈肛と書くと、何やら勇ましい感じになりますな。 トイレに行った後、ジンジンと疼痛が続き、悶えます。 ネリプロクト坐剤を手に入れて、坐剤を入れるのは上達してきたんですが……すぐまた切れる。苦しい。 こんな時に何かいい報せがあれば、気も紛れるんですがね。 と、どうでもいい投稿でした。ンガング(←昔のサザエさん)

狐狸

岩波の『芥川竜之介随筆集』読了。 面白かった! 友達がうんこを漏らす話がふたつ出てきて、そのうちのひとつは「喜劇中の喜劇」と芥川は言っております。 憂鬱な文豪も、うんこの魅力には勝てなかったようで。 その他興味を持った話で、芥川のお父さんが狐に化かされる話があるんですが、最近私は思っています。 昔の狐狸には、人をだます力があったのではないかと。 と言っても、それは人間側の能力が必要なんです。 昔の人間は、「狐狸には化かされる」と本当に信じていたので、夜道を歩いていて狐狸を見ると、「化かされるのではないか」という恐れから、一種の暗示にかかった状態になる。 そして、朦朧とした状態でドブに転げ込んだりして、「化かされた!」となるわけ。 『近代異妖篇』で岡本綺堂は、狐狸に化かされる現象を「動物磁気(今でいう催眠)」と喝破していますが、おそらくそれが当たっているでしょう。 狐狸と人間の相互の力が相まって、「化かす」という現象を起こさせていたのではないかと。 しかし近代化が進み、人から妖異を信じる力を失わせ、都市化の進行で狐狸も行き場を失い、滅びていく過程で「化かす」能力を失い、無味乾燥な現代に至ったと思います。 私が今住んでいるところは、東京二十三区でも辺境地区なので、たまに狸の姿を見かけます。 一度化かされてみたいんですが、未だそんな体験をしたことはありません。 勿体ない! では、次はちくま文庫の『芥川龍之介全集 Ⅰ』を読みます。 岩波文庫や新潮文庫には取られていない作品も入っているので、楽しみ。 それが全集のいいところ。

触発

新作の怪奇短篇を脱稿しました。 文藝春秋の担当さんが今回も読んでくれるそうなので、さっそく送ります。 最近創作欲が高まっているのは、完全に朝ドラ『花子とアン』に触発されたからです。 やっぱり、一度物書きを志した以上、発表できるかはおいといて、原稿をたゆまず書いていかねばなあ、と。 あと、劇中の宇田川満代センセイに勝手にライバル心を燃やしたからでもあります(笑) 宇田川センセイに負けてなるものか、いつか自分も「先生」と呼ばれるようになってやる! 結構自分は単純な性格だなあと思いましたよ。

離魂

今日、電話で母に、ちょっとゾッとする話を聞きました。 先日、父が通勤で車に乗っていたら、対向車が来た。 何気なく見ると、同じ車種で同じ塗装、しかも同じナンバーだったそうです。 思わず、「それ、ドッペルゲンガーたい!」と言ってしまいました。 幸い父は、運転者までは見なかったそうですが、もし見ていたら……ゾーッとします。 『近代異妖篇』で、離魂病やらドッペルゲンガー的な話をちょうど読んでいたところだったし。 父の身に何事もないことを祈ります。

異妖

前項の「甲州」は二重の意味がかかっていたのに、読者諸賢は気づかれたでしょうか。 『花子とアン』の舞台のひとつである甲府と、黒田長政公は甲斐守でして、「甲州」と呼ばれていたので、それをかけました。 まあ、そんなことはどうでもいいんですけどね(懐かしの、みつまJAPAN的に)。 綺堂の『近代異妖篇』読了。 『青蛙堂鬼談』の拾遺的な書かれ方をした本篇、格別であったのは『水鬼』です。 幽霊藻の伝説を縦糸にして、横糸に不実な男を殺害する凄惨な事件を織り込んだこの物語、綺堂の筆ののり方も他とは違うように思われます。 男を殺害する娘は、神経的な病だったのか、それとも官女に祟られているのかーー? ニューロティックな恐怖と、古典的怪異談のあわいを突いたこの作には、大変勉強させられました。 今私が書いている短篇が、同じようなテーマを扱っているので。 附録の『赤い杭』もいいですな。 深夜のカフェに寄って、ただ麦酒をあおり続ける役人たち、という描写がゾッとさせられます。 中公文庫さんには、まだまだ埋もれている綺堂読物を発掘して、出版していただきたい。 次は、岩波文庫の『芥川龍之介随筆集』を読みますよ。

甲州

今日、担当さんに怪奇短篇『双子』の改稿したものを渡しました。 なんとか雑誌掲載に至ってくれ! 一転して話は変わり、NHKのドラマにハマっている私です。 一本は『軍師官兵衛』。 随分前の項で触れましたが、初代福岡藩主・黒田長政公を生涯の英雄と仰ぐ私にとっては、大河も時代が変わったなあ、と。 何せ、如水・長政公の親子が主役ですからね。 しかし、前に触れたとおり、長政公が暗愚な武将と描かれないか、ハラハラしながら観ています。 今のところ松寿丸さまは、利発で武芸にも熱心なお子と描かれているので、ひと安心。 これから親子の相剋もテーマのひとつとなっていくらしいので、興味深い。 是非長政公贔屓の私も納得する描き方で、親子の葛藤を切り取ってもらいたいですな。 もう一本は『花子とアン』。 これは観ていて、物書きとして身につまされます。 自分は何の覚悟もなく、物書きの道に足を踏み入れてしまったのだなあ、と。 それと、梶原編集長がはなに言った、「君は作家になるには平凡すぎる」という言葉は、胸に刺さりました。 まあ、私も、近くでよく見てみれば、充分狂ってますがね。グヘヘ。 では、こぴっと次の短篇をがんばるずら。 あ、まず短篇を量産して、名を売ることが先決、探偵小説の長篇刊行はそれからついてくる、と思い直し、怪奇短篇に力をいれることにしました。 今執筆しているのは、域外知覚をテーマにしたものです。 いいものが書けますように…。

江戸

綺堂の『三浦老人昔話』を読了しました。 半七親分の友人・三浦老人が、喪われた江戸時代の面白話を物語るこの作、いやー、よかった! 特に、草双紙の魅力に憑かれた女の悲劇『春色梅ごよみ』や、清元の浄瑠璃に凝りに凝った旗本の殿様に待っていた運命を描く『桐畑の太夫』などがいい! 附録として収められた『黄八丈の小袖』も階級社会の悲劇で、思いの外いいです。 電車の中で読んでいたんですが、綺堂一流の語り口もありますが、江戸の魅力がこれでもかと伝わってきて、思わずニヤニヤしてしまいました。 階級社会で堅苦しい面もありますが、人間がそれでも生き生きと生活している様が感じられて、「江戸時代に生まれたかった……」と冗談でなく思いましたよ。 綺堂の半七捕物帳や江戸物の随筆がお好きな方は是非!

鳩首

今日久しぶりに文藝春秋本社に行ってきました! 去年書いた怪奇短篇『双子』の打ち合わせで。 以前からの担当編集者であるAさんと、別冊文藝春秋の担当のIさんと、書き直しの案を練ってきたのです。 「面白いけど、ラストがあっさりしてるので……」ということで、ラストの案を額を集めて打ち合わせしました。 三人寄れば文殊の知恵ーー自分ひとりでは思いつけない、良いラスト案が固まったわけで。 改稿がうまくいけば、8月発売の某誌に載るかもしれません。 まだ誌名は伏せておきますが。 つーことで、こぴっとがんばります!

執念

もう何回目かわかりませんが、綺堂の『青蛙堂鬼談』を再読しました。 今回は中公文庫版。 これは旧仮名遣いなので、古き佳き雰囲気が感じられていい! 収録作でやはり一番の出来は、『利根の渡』でしょうか。 復讐に憑かれた男の鬼気迫る話。 しかし、物語の中で一番浮いてる感じがするのも、この話な気が……。 はっきりと理由はわかりませんが、何か他と違う感じがするんですな。 解説の千葉俊二氏が、綺堂の怪談には珍しく「因縁話めいて理屈っぽい作品」とおっしゃってますが、違和感の原因は、そこ辺りにあるんでしょうか。 次はやはり綺堂の『三浦老人昔話』を再読しまっす。

妖虫

乱歩の『妖虫』再読。 初読の時に、犯人の動機に唸ったものですが、今回読んでみても、「親の因果が子に報い~」的な悲惨な動機に圧倒されました。 しかしラストが駆け足で、動機もさらっと書いてあるだけなんで、ホームズ物の長篇みたく、犯人が犯行に至る背景を一篇の小説にして、前後篇仕立てにしたら、もっと鬼気迫る物になったかも、と妄想。 次は綺堂の怪談小説三冊を再読します。 では。

転寝

さっきうたた寝をしていたら、夢を見ました。 その夢で、ぼんやりと構想はあったものの、はっきりしなかった新作長篇の枠組みが啓示されましたよ! 今回は夷戸たちは出てこない単発の作品にしようと思います。 ジャンルは、80年代に流行ったスラッシャームービーにオマージュを捧げた、キッチュなホラーです。 山深いある地方にある廃園になった遊園地ーーそこに胆試しに出かけたR大学の軽音楽サークルの面々が、次々と奇怪に殺されーーという、コテコテのスラッシャー。 犯人の動機も、「今頃そんなことを明かされても知るか! 反則や!」的なお約束を踏んだものにします。 タイトルだけは前から決めてあったんですが、『グレート・スラッシュ・パンク』にしようかなと。 「スラッシュ・パンク」なる言葉は、数年前に観たB級スラッシャー映画の特典メイキングで、進行役の女性が、こうしたややチープなスラッシャームービーの総称として使っていて、「いいな」と思っていたのです。 1年に1回しか創作アイデアが湧かない(しかもそのアイデアは短篇のこともある)怠惰な私ですが、これからがんばりますよ~!! この出版不況下、しかも一部の大御所の作品はバカ売れするが、そうじゃない作品は見向きもされない時代ですが、作品が採用されるかされないかなんて、考えないことにします。 楽しんで書ければいいのだ。

悪文

『ラヴクラフト全集第7巻』をやっと読了しましたよ。 ラヴクラフトの悪文に久しぶりに難渋しながら、楽しく読めました。 そんなに期待してはいなかったんですけど。 以下、気になった作品の感想を。 『木』はラヴクラフトには珍しい、怪奇色薄めの掌編。 親友同士であるふたりの芸術家の裏切りと、その悲しい結末を描いています。 「へえ、ラヴクラフトはこんな悲劇も書くんだね」と興味深く読めました。 『忌み嫌われる家』は、次々と住人が死んでいった家の秘密をめぐる物語で、古典的な怪奇小説かと思いきや、ラストのグチャドロ具合は逸品! 是非スチュアート・ゴードンに映像化していただきたい。 『ファラオとともに幽閉されて』は、前半は何となくポオ的な味わいを思わせるものがありましたが、これもラストのグロテスクな神々の行進はラヴクラフトならでは。 と、こうして読んできて、視覚的に派手なグロさをアッピールするのが、彼以前の怪奇小説家との決定的な違いかな、と思わせられました。 しかし、彼の人種・民族偏見は、時代的なものもあるとはいえ、かなりのものですね。 初期作品の『通り』なんて、「アングロサクソンでなくてごめんちょ!」と、皮肉っぽく言いたくなりました。

不惑

今日、ついに不惑を迎えてしまった……。 とはいえ、そんな節目の日にも、ケーキを独り食べることもなく、まったく普段どおりの生活でしたが。 友人や家族から、メールやらFacebookのメッセージやらで、おめでとうと言われるとさすがにこの年になっても気分がいいね。 さて、老い先短い人生、ロックなクソじじいを目指してがんばります! そして少しでも作品を発表できますように! ではまた。

適切

イメージ
担当さんから速達で、朱筆の入った短篇原稿が送られてきたので、直してました。 ゲラでもそうだけど、こういうのを見ると、出版社の人の目は確かだなと思います。 私は余計な代名詞を書いちゃう癖があって、それが素人臭い味になってるんですが、担当さんの手にかかると、ばっさり切られてる……。 で、「あー、やっぱ訂正後のほうがいいな」と悔しいが思い知らされるわけです。 うーむ、この短篇が採用されてほしい。 されなかったら、また来年の南雲堂の本格ミステリーワールドに書くことがなくなるし! 写真にビールがちらりと映ってますが、原稿に取り組む時は、チビチビやりながらじゃないとダメなんすよ。 担当さんには、「アルコール依存になるからやめたほうがいいよ」と言われてますが……。

禁煙

ふと思いついて、また禁煙してます。 ここ数年は、一年吸って一年禁煙、みたいな感じだったので、さほど苦痛ではない。 元はといえば、前回禁煙を破ったのは、「新作が出るまでストレスがかかるだろうから、好きに吸っちゃる!」という自暴自棄な感じだったんですが、新作は当分出そうにない(あるいはこのまま出ない?)ので……もういい加減禁煙するかな、と。 煙草がないと、何かサマにならない感じがして、居心地悪いですが、まあ、また年単位で煙草を断ってみます。 その先また吸うかはわかりませーん。 と、下らないことを書いていたら、担当さんから電話がありました。 朱筆を入れた短篇原稿を速達で送るので、週末に細かい手直しをしてくれ、と。 そんで、週明けに戻してもらったら、雑誌の担当者に見せます、とのこと。 よし! 短篇デビューに向けて、一歩前進や~!

削減

体重も経費も何もかも、減らすのは難しいですね。 私は原稿枚数を減らすのが大の苦手です。 見直しても、それぞれの文章に愛着があって、というか必要に思えて、なかなか削ることができません。 で、余計なことまで書いちゃうというね。 先週の担当さんとの会談で、84枚書いた『双子』という短篇を70枚に減らすように言われたのですが、結局80枚までしか削れませんでした……。 で、担当さんに「これでよか?」と泣きついたところ、「とりあえず送って」と言われたので、安堵した次第。 今やっと最終的な見直しを終えて、送りました。 いやー、ほんと、この短篇がモノになってほしいっす。 目指せ、短篇デビュー!

密会

イメージ
今日、文藝春秋の担当者さんと仕切り直しの打ち合わせしてきました! 今回の指令は、昨夏に送った怪奇短篇がなかなかよくできているので、早急に改稿してクオリティを上げよ、とのこと。 よーし、おとうさんがんばって改稿しちゃうぞ~! そして雑誌に売れるといいなあ。 出版界は相変わらず厳しい状況のようですが、めげずにがんばります! 写真は、担当さんにMadでアホな表情を激撮してもらいました。 CarcassのNecroheadのTシャツがチラ見えて、いい味を出してますね。 額に映り込んだのは、観葉植物の葉っぱの影で、決して担当さんに「つまんねー作品書きやがって!」とぶん殴られた痣ではありません。 あ、先日考えついた『スノウブラインド』の改稿案は、あっさり却下されました。 ホラーにもっと寄った改稿案を呈示したんですが、「それよりもモチーフを深める方向で改稿したほうがいい」と言われて。 なるほどね~。 それでは短篇の改稿に取り掛かります。

導入

ついに、ついに新しいノートパソコンを導入しました! 激遅・激重で初期Cathedralの楽曲のような(またその喩えか……)マシンをやっと卒業! 20年のPC歴で、初めての国産物♪ よし、これで心機一転、新作をバンバン書くぞ~!(アイデアが湧けばね……)

光速

YahooBBがやいのやいのと言うてきているので、そろそろ自宅のインターネット環境を光にしようと思います。 今のADSLは初期Cathedral並みにDoomyな激遅の上、割高ときているから。 まあ、ノートパソコンを買い替えたんで(まだ設置してないけど。というのは、古いのが何故か奇蹟的に復活して、そこそこ使えているから、面倒臭くなった)、それに合わせてネット環境も一新しようとは思っていたけど。 しかし、生来、色々な手続きなどが苦手で面倒臭がりの私には、光にするだけでひと苦労ですな。 Yahooに電話して、今の集合住宅のオーナーに承諾を取って、工事して、って面倒臭過ぎ。 だが、ここで萎えていては、今年不惑の男がすたるので、高速インターネッツの世界に飛び出そうと思います。 今回は小ネタでした。 では。

改訂

文藝春秋の担当氏に以前から「新作を出す時は、スノウブラインドの文庫化も連動させたいと思っています」と言われています。 まあ実現するかはわかりませんが……万一文庫化が実現するなら、スノウブラインドは漢字表記も文章も結末のつけ方も気に入らないので、全面改訂したいと思っているんです。 スノウブラインドは、刊行されてから著者見本で貰った物を一度も見直していないほど、気に入らない作品なんですな。 (墓地裏についても見直したことはないですが……) しかし、最近通勤中に関係ない小説を読書をしていたら、ふとスノウブラインドの結末改訂案が浮かびました。 これが蛇足になるか、質を高めるものになるかはわかりませんが、次回の担当氏との会談で呈示してみたいと思っています。 「面白いですね!」と言われるか、「で?」と言われるか……。 まだ延期になった会談の再開催日程は決まってませんが、会談が開催され次第、その辺もブログで報告します!

猖獗

風邪やインフルエンザが猖獗を極めているようですな。 私も未だに具合が悪い。 で、今日は文藝春秋の担当氏と打ち合わせのはずだったんですが、担当氏もひどい風邪らしく、延期になりました。 ちょっとガッカリですが、こちらも体調がよくないので、ちょうどよかったですよ。 今年のウィルスはしつこいようなので、皆様もどうかご自愛くださいませ。 周りにインフルエンザや風邪が治ったと思ったら、ノロに感染したという人が結構いるので、嘔吐恐怖の私は気を引き締めます! さて、東京創元のラヴクラフト全集の中で、唯一未読だった第7巻でも読みますかね。 体調が悪いと読書が捗るのだけが救い。

円坐

十年ぶりくらいに流感に罹りました。 高熱が出て、ウンウン蒲団の中で唸っています。 あまりに苦しいので、ロキソニンで一応熱を下げると、今度は退屈してきました。 そこで、読みさしの岡本綺堂の『探偵夜話』を読んでいるんですが、やっぱり綺堂はいい! 後の本格的な探偵小説と違って、真相がどれも半ば朦朧としているのが自分好み。 勿論、綺堂一流の語り口も絶品。 流感に罹ったおかげで、ゆっくり読書ができます。 しかし、来週火曜には、文藝春秋の担当さんと久しぶりに会って、軽く一杯やることになっているので、早く治さないと。 担当さんとの会談で、何か新展開があったら、またブログをアップします。 では。

螺子

♪新作出さない物書きは後ろの山に棄てましょか  いえいえ それはかわいそう それはおいといて、創元推理文庫からヘンリー・ジェイムズの古典的名作『ねじの回転』新訳版が今さら出ているのに気づき、買い求め再読。 いや、あっという間でした、読み終わるのに。 新潮文庫版を二十年くらい前に読んだ時は、正直「ふーん」くらいの感想しかなかった気がするんですが(変わった話だなあとは思った)、新訳版は頁をめくる手が止まりませんでしたね。 極上な感じで幻惑されました。 これから読まれる方のために種を明かすのはやめますが、というか、何が種だったのかもよくわからないという不思議な逸品です。 百年以上前に書かれた作品ですが、ちっとも古びておらず、むしろ主人公の感情が生々しく、過剰なまでにひりひりと伝わってきます。 偉大な才能というのは、凄いもんだな。 これは新潮文庫版と読み比べて、ちょっと比較してみるか、ヒマだからな!(©上野顕太郎氏)と思い、雨に濡れてガビガビになっていた古い新潮版を捨てて、改版の物を買ったのですが……ただ活字が大きくなっているだけではなく、表紙が変わっていた……。 しかもなんか漫画チックなイラストに。 こ、これは……作品が持つ格調とそぐわないのでは? 東京創元版にはジェイムズの怪奇短篇も併せて収録されているので、今から読むのが楽しみ。

故障

出版不況下、売れる本と売れない本の二極化が叫ばれている昨今、変わらず売れない側の倉野です。 自宅のノートPCが故障したばい。 文字が打てまっせん。 だから、アプリをダウンロードして、スマホから更新してみました。 文字の打てないPCなんて、物書きとしては致命的ですな。 しかし取り立てて仕事もないので、よし。 なんかスマホから更新すると、LINEとかのメッセージ感覚になって、文体がおかしくなりますな。 ではまた。