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逆襲

『悪魔のいけにえ レザーフェイス一家の逆襲』を昨日鑑賞。 うーん、何と言ってよいのかわからない作品です。 プロローグでオリジナルの映像を使っていて、「うちが本家本元の続編やき!」と主張している気はしますが。 後半の展開は、恐らく誰もが予想可能かと。 どこにおいしさを見出せばいいのでしょう? マリリン・バーンズやガンナー・ハンセンといったオリジナルキャストのゲスト出演でしょうか(そういえば、ガンナー・ハンセン氏、先頃お亡くなりになりましたね)。 とりあえず自分は、パート2、3、4や、リメイク作の『テキサス・チェーンソー』を含め、関連作はすべてこれで観られた、というところに、自己満足を見出そうと思います。 ってか、そうじゃないとやってらんねえ!

心中

森田草平の『煤煙』読了。 極度のイゴイスト男と、ボーダー女の道ならぬ恋愛物語――と言ったら身も蓋もありませんわな。 それくらいどの登場人物にも感情移入できません。 主人公・要吉は、物語の途中で子供を亡くすんですが、それが漱石の『彼岸過迄』や鷗外の『金毘羅』、あるいは志賀直哉の『和解』といった「幼い子供死んじゃう系小説」と違って、主人公は大した感慨を起こさないので、それでこちらにも何もぐっとくるものがありません。 それに何と言ってもヒロイン朋子が徹頭徹尾異常なパーソナリティのように描かれているので(境界性パーソナリティ障害っぽく)、これまた共感を厳として遮ります。 (しかし、モデルである平塚らいてうは、こんな描かれ方をして、怒らなかったんですかねえ?) 面白いことは面白いですが、読んでいると、主人公たちへの不快感で、段々眉間に皺が刻まれていく感じの小説です。 しかし「クラスターB系の男女が恋をするとこうなる」ということを描いた点では、出色の出来でしょう。 お暇なら読んでね。

納豆

ゴリパラ見聞録で、斉藤優氏が「納豆UFO」(カップ焼きそばのUFOに納豆をぶっかけて食すというものです)を推していましたが(実際の発案者は福大時代のゴリけん氏らしいですが)、私も食してみたところ、確かに美味いです。 では、関東在住者として、東のカップ焼きそばの雄たるペヤングではどうなのか、をたった今検証してみました。 この時間に……しかも超大盛で……。 結果は……美味いです! UFOより幾分スパイシーなペヤングに、納豆の風味がマッチしております。 ペヤング云々よりも、納豆って偉大だなあ、と再認識した次第です。 しかし、長引く風邪も治りきっていないのに、こんな食生活でいいんだろうか。

煤煙

十日前にひいた風邪が一向によくならず、ひいひい言っています。 病院に行ったのに、補中益気湯なる漢方薬を処方されただけだった……。 当然まったくよくならず……。 これはもう抗生物質さまのお手を借りるしかねえ。 で、久々に読書の話題。 岩波から出ているモーパッサンの短篇選を読んで面白かったんですが、新潮から三巻物の短篇集が出ているのを知り、そっちも買った次第。 で、田舎を題材にした作品を集めた第一巻を読み終わった。 驚くほど小噺チックな軽い作品が多いので、「文豪モーパッサン」という勝手なイメージが裏切られました。 「この人って、サラサラっと書き飛ばすタイプの人だったのね」と。 印象に残ったのは『海上悲話』。 漁師がトロール船の綱に腕を巻き込まれて――って話ですが、電車内で読んでて本気で気分が悪くなりましたよ。 今読んでいるのは森田草平の『煤煙』。 漱石や百閒の作品でその存在は知っていましたが、「どっかが復刊してくれねえかなあ」と思っていたら、岩波が出してくれました。 平塚らいてうとの道ならぬ恋を小説化し、世に言う「煤煙事件」を巻き起こした、スキャンダラスな作品です。 まだ最初の六十頁くらいしか読んでいませんが、面白いっす。 師走の日々を煤煙と共に過ごそうと思います。 え? 「おまえはちゃんと執筆活動をしているのか」って? いやあ、私はもう過去の人ですから。 「著作を昔出版した」という思い出を抱いて生きていこうと。

見聞

またもや今更な話題ですが、CSで『ゴリパラ見聞録』にハマって、毎回楽しみに観ています! 知らない方に簡単に説明すると、福岡のテレビ西日本製作の番組で、ゴリけんとパラシュート部隊の斉藤優&矢野ペペが、キッズのリクエストに応えて、日本全国のスポットに行ってくる、というものです。 ぶっちゃけ、『水曜どうでしょう』の柳の下の泥鰌を狙った作品ですが、うまいこと昇華して、本家に勝るとも劣らない番組に仕上がっています。 それもこれも、出演者のダメっぷり、クズっぷり(←褒め言葉ですよ)が如何なくドキュメントとして描き出される点が強みでしょうな。 斉藤優は一見して性格が悪そうながらも、恒例の一献では「面白うて、やがて悲しき」姿を見せて視聴者の共感を呼ぶし、ゴリけんはいい人そうでいて、かなりめんどくさい人だし、矢野ペペは一見常識人ながら一番のクズかもしれない(「ドロ様なんて知らねーし」発言とか)し、三者のキャラが立ちまくり。 とにかく面白いんで、観られる環境にある方は是非! 自分が十八まで福岡で過ごして上京したせいか、華丸大吉にせよ、ゴリパラの面々にせよ、ローカルの厚い壁を破って、全国に発信している人たちには、応援と共感の気持ちしか湧きません。 華大やゴリパラが頑張っている姿を見ると、「俺も頑張らんば!」という気持ちを思い出させてくれるんですね。 と熱く語ってしまいましたが、面白いテレビ番組に久しぶりに出会えて、うれしかですよ。

悪魔

「やっぱデモンズは1より2よねー」ってことで、10代の頃の昼下がりに地上波で観て熱狂した、『デモンズ2』をDVDで再見。 地上波版はたぶん編集が入ってたので、いっそうテンポがよかったんだと思いますが、オリジナルを観返しても、アクションホラーの佳作だと思います。 物語は、悪魔がテレビ番組を突き破って、番組を観ていた女に憑依。 停電して閉鎖空間となったマンションで、次々に悪魔の毒牙に人々は餌食となるが――といった作品です。 偶然の一致だとは思いますが、『リング』の元ネタ?になったかもしれない作品であり、『ダイ・ハード』にも閉鎖空間となったビルでのアクションという点がほんのり似ているという、先駆者的作品であります(というか、こちらが先にできたことを知らなかった私は、てっきり今まで本作がダイ・ハードの設定をパクったと思い込んでいました。ゴメン、ダリオ・アルジェント&ランベルト・バーヴァ!)。 悪魔軍団とのバトルが後半は繰り広げられるのですが、リーダー役になるハゲのトレーナーがいい味を出しております(最期は痛すぎる展開だけど……)。 それと、悪くなった後のグレムリンみたいなクリーチャーが出てきますが、バスタオルをかけられて前が見えなくなっただけでピーピー騒ぐのがかわいいです。 音楽もザ・スミス、ザ・カルト、アート・オブ・ノイズ、デッド・カン・ダンス、フィールズ・オブ・ザ・ネフィリムと充実。 観る価値アリですばい!

蘇生

『ゾンゲリア』を久しぶりに再見。 やっぱりこの作品は面白いですねえ。 邦題は最低と言っても過言ではないですが(原題はDead & Buried)。 内容はというと、ゾングと現地語で呼ばれるゾンビが南洋の島で大発生し――というのは嘘八百です。すみません。 本当の物語は、ポッターズ・ブラフなる片田舎の町で、連続殺人事件が起きる。主人公の保安官・ダンは、事件を追ううちに、事件に妻が関与しているのではないか、そして被害者が生き返っているのではないかという疑惑に囚われ――という話。 ホラー映画にしても、怪奇小説にしても、寒々しい雰囲気が漂う話が好きなんですが、『ゾンゲリア』も実に薄ら寒い空気感があって好きです。 ちゃんとスタン・ウィンストン(『ターミネーター』の人ね)による特殊メイクが冴えるグロ描写もあります。 しかし、昔この映画を初見して、オチでびっくらこいて思ったのは(そして恐らくほとんどの人が思うであろう感想は)、「M.ナイト.シャマランめ、“あの作品”でこれをパクりやがったな!」ということです。 実際、『ゾンゲリア』で検索して最初に出てきたある方のレビューでは、同じ感想が書かれていて、ニヤリとしましたよ。 それはともかく、「ポッターズ・ブラフへようこそ」の看板に「A NEW WAY OF LIFE」とさりげなく書かれているのも伏線になっていたり、さすがダン・オバノン脚本(『エイリアン』や『バタリアン』の方ですよ!)と唸らされます。 寒々しいホラーが好きな方、おまけにどんでん返しをかましてくれる映画が好きな方、そしてやっぱりグロもないとね、という方には(そんな人いるの?)最適の映画です。 隠れた傑作ですので、どうぞご覧あれ。 (私、GEOで借りて再見したんですが、観終わってすぐにAmazonでブルーレイを注文しちゃいました)。

喝采

「♪いつものように、幕が開き~」ではなく、ダリオ・アルジェントの『オペラ座 血の喝采』を観たのである。 瞼を閉じると針が刺さる、瞬き針責めのシーンを映画ファンなら一度は見たことがあるかもしれない、ないかもしれないそこそこ有名な作品です。 で、中身ですが、アルジェントの作品にしては割りとかっちりした作りになっています。 (彼はたがが緩んだような結構の作品をよく作っていたので……)。 ひょんなことでマクベス夫人の役を射止めた歌手が、変態殺人鬼に狙われる、といった物語。 中でも、自分の部屋にいる刑事が偽者なのか、あるいは外にいるのが偽者なのか、と混乱する場面はさすがのサスペンス。 しかしですね、どんでん返しのネタは、そりゃあちょっと無理じゃござんせんか、と言いたくなります。 屍体と××を間違えるなんて、あり得ないでしょ。 あと、オペラの世界の話なのに、要所要所でメタリックな歌がかかるのは、アルジェントの趣味ですよね(演奏してるバンドは、エンドクレジットを見てもよくわからなかったけど)。 で、そんなこんなで結構楽しめちゃいました。 ホラー好きには間違いなくオススメです。

調査

数年前に文藝春秋から本を出したことがある関係上、この季節になると送られてくるものがある。 それは、週刊文春の今年のミステリーベストテンのアンケート。 しかし、これ、今まで回答したことがないのである。 なんと不遜な! 理由は、そもそも存命作家の小説を読まにゃい。 そして、そもそもプライベートでほとんど探偵小説を読まにゃい。 最初の理由は、昔の古びた小説に憧れているから。 後の理由は、被暗示性が強いので、すぐに影響を受けそうだから。 ということで、書くことがなくて、いつも放ってしまうのである。文藝春秋さん、スンマセン。 何年か前の「東西ミステリーベストテン」(?)という古今東西の探偵小説のベストを決めようという企画のアンケートは、出そうかなと思ったことがありますが。 しかし、日本は戦前に偏っているにしても何とかなるが、欧米のはホームズとブラウン神父くらいしか読んだことがないので、断念した次第。 「もう送らなくていいですよ」と言いたいけれど、せっかく送ってくれるのにそれも失礼かなと思い、今年もまた放ってしまうのである。 ウララ~(ロボコン風)

消耗

私が文壇の片隅からひっそりと消えたのも、どうやら妖怪のせいなのであるが、それはともかくとして、『エクスペンダブルズ3』をDVDで今更観たのである! うん、シリーズ一の面白さでしたよ。 キャストの中でも、オイシイ役柄だったのが、新加入のアントニオ・バンデラス。 『デスペラード』なんかを知っている世代としては、「え、バンデラスってこんなに剽軽者なの?」 って感じの躁病的役柄でしゃべるしゃべる。 しかも、彼って結構身体が小さいんですね。 イメージをすっかり裏切られましたわ。 それに、近年は騒動ばかりのメル・ギブソンも悪役にぴったりハマっております。 性格の悪さは素ですね、って感じの演技ぶりです。 ブルース・ウィリス降板で後釜のCIAエージェントを演じたハリソン・フォードも、おじいちゃんながら頑張っているし、「今回はジェット・リーの出番はナシか」と寂しく思っていたら、まさかの登場もあるし、大満足だす。 次はスタローンとシュワちゃんの『大脱出』を借りようと思ったんですが、行きつけの GEOにアルジェントの『オペラ座 血の喝采』が入荷されてたんで、迷わずそっちを借りちゃいました。 観るのが楽しみ~。

妖怪

今更感が漂いまくるが……妖怪ウォッチにハマってしまったのである。 きっかけは、夏休みにたまたまテレビをつけていたら、流れていたので見たところ……面白いじゃん! それから本放送を欠かさず観るようになり。 過去放送はYoutubeで観ていたけど、観られない回とかあったので、業を煮やし、DVDを借りてきて観ています。 狛犬の妖怪・コマさんがとにかくもんげーかわいいんズラよ。 ジバニャンよりもかわいい。 この前、東京駅に行く用事があったので、東京駅一番街のオフィシャルショップを訪れ、コマさんのストラップとぬいぐるみを買ってきちゃった♪ 今まではアニメとかまったく興味がなかったのに、知り合いには「のめり込み方が異常」とまで言われる始末です。 週末の楽しみができて、生活にハリができましたな。 それじゃ、バイズラ!

退化

『悪夢の輪舞曲(仮題)』なる、新しい作品を2週間ちょっとで書き終ったのである。 「最低限200枚書いて、できれば300枚書ければいいなあ」と思っていたら、たった162枚しか書けなかったのである……。 デビュー当初から大した筆力は持っていなかったけど、自分の能力は退化しているんじゃ? と痛感させられましたよ。 元来、物語が短く短くこじんまりする悪癖はあったけど、ここまでとは! それもこれもあって、疲れまちた。はあ。 追記 あれま、スマホから誤字を直したら、新しい投稿になってしまったよ! なんか恥の上塗りみたいでやだなあ。

緑衣

乱歩の長篇『緑衣の鬼』を読了。 実は三十年ほど前に、ポプラ社の少年向けにリライトされた物を読んではいたんですが、大人向けを今改めて読んでみて、「むむ!」と感心した次第。 緑衣の鬼と恐れられる殺人鬼が跳梁する乱歩好みの物語が、鮮やかな論理で終盤に合理的に収束する、本格探偵小説の醍醐味を感じさせてくれます。 いや、バリバリの推理小説読者には、『緑衣の鬼』の本格さは物足りないと思われることはわかっています。 しかし、元来私は論理的に物事を考える人ではなく、本格推理小説というものは読むのも書くのもツライ、と思ってしまうほうなので、これくらいの本格味の塩梅がちょうどいいんですね。 そういえば、少年向け『緑衣の鬼』での第一の殺人で、「リノリウム張りの床」というものを知って、それが何故か本筋よりも、いまだに心に残っているんですが、大人向け原作を読んでみたら、リノリウムは出てきませんでした。 がっかり。 元ネタの『赤毛のレドメイン家』は、これまた子供向けリライトしか読んでませんが、乱歩がいかに換骨奪胎したかを知りたいのと、解説で触れられている「重層する悪念」というものを味わいたいので、ちょっと読んでみたいな、と思いましたよ。 では。

残暑

今日は珍しく残暑が厳しいですね。 立秋を過ぎたらあっという間に朝晩涼しくなって、夏大好き人間の私は寂しい思いをしていたんですが。 それはともかく、お盆休みに構想を練った新作、ちょっと面白いものになるかもしれません。 仮題は『悪夢の輪舞曲』と付けました(BABYMETALのパクリ!!笑) 精神病患者の妄想のガチンコ勝負といった物語になりそうです。 ジャンルとしては怪奇小説なんですが、一点不安なのは、私が最近のホラー小説を読んだことがないってこと。 戦前の怪奇幻想文学は、結構読んでるんですが。 しかも、長篇の怪奇小説を書くのは初めてだってこと。 短篇の怪奇小説なら、去年文春の「つんどくVol.4」に掲載してもらった『双子』を書いたことがあるし、それなりに読んでもいるので、まあわかるんですが、長篇怪奇小説は、勘所がイマイチわかりません。 ま、ヘンリー・ジェイムズの大傑作『ねじの回転』みたいな、読んでいるうちに違和感が募っていくような作品が書ければいいな、と思っています。 ていうか、書いてもどこに発表するんだ?! ……わからん!! あ、最近、アマゾンで黒田長政関連の文献を幾つか購入したんですが、読めるのは先になりそうだなあ。 当分は執筆に勤しまねば。

決戦

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お盆休み、福岡に帰省してたんですが……。 東京ではスルーした「大関ヶ原展」、福岡での開催は敬愛する黒田長政公をフィーチャーしているというので、福岡市博物館へ行ってきました! ポスターにも「長政、勝利に導く!」の文字がデカデカと! 誇らしげに指し示す、DischargeのTシャツを着た倉野氏。 長政公が関ヶ原で着用した一ノ谷の兜と鎧の展示もよかったんですが、一番感銘を受けたのは、長政公が金吾秀秋に送った裏切りを誘い掛ける密書です。 伝令が捕らえられてもいいように菅笠の茎に入れて密かに運んだとあり、小さな小さな文書ですが、「これが家康の天下取りへと歴史を動かしたのか」と感心することしきり。 まさか、現存しているとは思わなかったので。 関ヶ原で知略と武勇を尽くし、時にしたたかに動いた長政公の姿を生き生きと知ることができ、大満足の一日でした。 お近くの方は是非!!

炎天

毎日毎日暑いですね。 といっても、私は夏が大好きなので、カッと陽が照っていると気持ちよく感じます。 しかし、ジョギングにはきつい季節になりました。 夜中に走っても汗だく。 最近秘密裡に、中篇くらいのちょっと長めの作品の構想を練っているところです。 発表できるあては皆無ですが、書かねばならぬ! どんどん書いていけば、いつかは実になることもあるでしょう、と信じて。 お盆休みに構想を練り上げ、休み明けには執筆に取りかかろうと思っています。 まあがんばりますよ。

無常

田山花袋の『時は過ぎゆく』読了。 これは作者の叔父叔母一家をモデルにして、明治維新から大正初期までの一族の流転の人生を描いたもの(花袋自身も「眞弓」という名で出てきます)。 といっても、そこは花袋のこと、人が産まれ、死に、家運も変遷を辿りますが、あくまで淡々と、物静かに物語は進行していきます。 花袋の文章に免疫がない方は、「何だ、この平坦で退屈な話は」と切って捨てるかもしれません。 しかし、じっくりと読んでいけば、底に流れる深い情感、哀感と、まさに「時は過ぎゆく」無常感に思いを致さずにはおれません。 そしてもうひとつの本作の見どころは、明治時代の世相風俗が生き生きと描かれていること。 日清日露の時代くらいからなら、現代の私たちにも少しは想像がつきますが、維新直後の荒廃した日本の様子などが描かれ、「なるほど」と思わされました。 時は過ぎゆく――まさに私も不惑を超えて、人生の折り返し地点を過ぎましたが、本作の主人公・青山良太のように、実直に勤勉に清廉に生きていくことはできるでしょうかねえ。 ……勤勉は無理だな。 ここでちょっと思い出したこと。 本作の題名を見て、すぐに映画『カサブランカ』で有名なジャズの名曲「As time goes by」を思い出す方も多いでしょう。 しかし、私が二十年程前、大学の哲学講義で時間論を取っていたんですが、この曲の邦題「時の過ぎ行くままに」というのは誤訳だと教えられました。 本当は「時は過ぎ行くけれど」と訳すのが正しいのだと。 本当は「時は過ぎゆくけれど、変わらない物は変わらない」という不変の思想が貫かれていた詩が、「時の過ぎ行くままに」――「ゆく河の流れは絶えずして」的ないかにも日本人好みの時間的無常感に変化した、ナイスな誤訳になっていると哲学の先生はおっしゃってましたね。 以上、ひと口メモでした。

別離

こんな裏話をブログに書いていいものか、と迷ったんですが、書いちゃうのである。 今月一日付で、文藝春秋の担当編集者さんが他部署に異動になったと先日聞き、驚愕した私なのである。 デビュー前からお世話になった方でして、売れない私を叱咤激励し、愚作を売り込んでくれた唯一の理解者兼業界の唯一の知り合いだっただけに、腰を抜かました。 池袋のある歴史を題材にした短篇をこの数か月書こうとしてたんですが、どうにも良いアイデアが浮かばず、「物書きとしての自分もそろそろ潮時かなァ」とか鼻糞ほじりながら思ってたところに、この人事異動のニュース。 私は滅法世間が狭く、他に業界の知り合いもいないので、これからの行く末に不安がいっぱいなのです。 売れない物書きは死なず、ただ消え去るのみ。いや、いつかは死ぬけどね。 そういえば、ブログの説明やらプロフィールから、「物書き」という文言を外しました。 常々、売れてもいないし作品数もちょっとしか出していない自分は作家と名乗るのはおこがましい、物書きの端くれぐらいだ、と考えていたんですが、あまりに作品が出せないので、物書きと名乗るのもおこがましい、と思うようになりまして。 出版されないにしても何故私がバンバン作品を量産できないのか、それはひとつは怠惰なせいもありますが、理由はそれだけじゃないということに最近気づきましたが、それはまたいずれ。

反応

毎日毎日暑いですねえ。 まあ元来私は暑い夏が好きなので、どうってことはないですが。 先日、このブログにコメントを寄せてくれた方が二人おりました。 知人以外見てないんだろうなあと、惰性で書いてたブログだったので、驚きと共に素直に嬉しかったですよ。 コツコツ書いていた甲斐があったなあと。 どんなコメントでも嬉しくなっちゃうので、読者の皆さん、気軽に書き込んでくださいね! 新作を待ってくださっている方々に報いるような働きをしたいんですが……編集者さんとも最近連絡が取れてないし、どうなることやら……。 短篇でもいいんで、年に一作は発表したいんですけどね。 では~、頑張ります!

温泉

梅雨で雨ばかり。 こんな季節、傘を地面に水平に持って振りながら歩いている人を見ると、わざと近寄って当たりに行く、性格の悪い倉野です。 さて、田山花袋による温泉紀行『温泉めぐり』を読了しました。 面白かった! 山巒、というのが本書の最頻出単語なんですが(はーい、ここ試験に出ますよー)、明治時代で交通も不便な時代に、花袋はよく山の温泉を巡ったなあと感心してしまいます。 関西以東の温泉を中心に、有名無名取り混ぜて、ほとんどの温泉が網羅してあります。 で、山巒、嵐気が頻出するように、花袋は山の中にある温泉が好きなんだろうな、と思いつつ頁を繰っていると、最後の最後になって、すべてをひっくり返しにかかります。 曰く、「しかし何と言っても、温泉は別府だ。九州ばかりではない。日本でもこれほど種類の複雑した、分量の多い、それでいて、海にも山にも近く、平民的にも貴族的にも暮らせる温泉はまア沢山はあるまいと思われる。別府に比べたら、伊豆の熱海や伊東などは殆ど言うに足りない」と。 いやあ、花袋さん、それは言い過ぎじゃないの~? と九州人である私などは思ってしまうんですが。 同じ九州でも武雄温泉を「俗だ」と吐き捨てるように言う花袋氏ですが、別府ほど俗な温泉はないと思うんですがねえ。 ま、そんなこんなで花袋氏による極めて主観的な温泉評を微笑ましく読むことができる本書は、温泉好きには必携です。 特に、好きな温泉がある人は、田山花袋の評に頷くかどうか、そこも見所だと思われます。 私は年末年始はいつも二日市温泉(旧名・武蔵温泉)で過ごすんですが、花袋に褒めまくられているのを読んで、嬉しくなってしまいました。 花袋づいている私、次は『時は過ぎゆく』を読んでいます。 と、ここまでいつものように読書記録を書いていて、ふと、「こんなの読書メーターかブクログにでもひっそりアップしてればいいんじゃね?」という考えが浮かんできた。 そうだね!

突撃

「異常」の項で書いたんですが、世界中からの不可解なアクセス、未だ止みません。 というか、ひどくなる一方。 インターネットとか全然わからんアナログな私なので、直観的な怖さを感じる日々。 このブログは一旦閉めようかとも思っています。 友達に、「ツイッターは、匿名で死ぬほど下らないことを呟くのが面白いよ」と教えられて、今更「そうか」と思ったのもあり。 このブログでは優等生的な発言に終始してるので、自分的にも堅苦しい気がするのもあり。 ま、もうちょっと考えます。 タイトルに意味はありません。

乙女

遂に買っちゃいました、ドイツ盤のBABYMETALの1st!! 何と言っても、特典てんこ盛りなのが嬉しい。 新曲「road of resistance」に「ギミチョコ」のライヴバージョンもついてるし、全ビデオクリップが同梱のDVDに入ってます。 お買い得! 早速聴きましたが、うーん、いいですねあ。 全編捨て曲なし!(サウンドプロダクションが、もうちょいヘヴィだとなおいいですが) 特にいいのが、「悪夢の輪舞曲」! たゆたうような妖しい歌唱がゴシックで無気味な雰囲気を醸し出しています。 ハマりました! 先日某所で、ベビメタのジューダスプリーストパロディTシャツを着ている人を見ました。 かっこよかった。 幕張メッセに観に行ったんだろうなあ、羨ましい。 もう、追い剥ぎをしようかと思いましたよ。 ベビメタのTシャツもバンドTコレクションに入れたい今日この頃DEATH!!

貫通

最近、恐るべき悲しい事実に気づいてしまった…。 それはネットで我が愚作の酷評を発見した、ということではなく、大切に大切に着ている数多のバンドTシャツの腰部分に、小さな穴が開いていることを。 最初は「虫食いだ!」と騒いだんですが、どれも腰だけやられているのもおかしい。 そこで不意に犯人が解りましたね。 愛用しているスタッズベルトのせいだ、と。 鋲の先が、Tシャツを貫通してたんですね……。 へこむなあ。 穴が開いている20着くらいは買い直したいけど、経済的余裕とお店の在庫がないだろうし。 とりあえず、これ以上被害を拡大させないために、スタッズベルトを廃止しました。 しかし、へこむなあ。 久しぶりの更新が、こんな下らないネタでスミマセン……。

埋没

今、田山花袋の『田舎教師』を読み終わりました。 花袋は晩年、『蒲団』のことを持ち出されると「今更蒲団でもあるまい」と相手にせず、『田舎教師』を自作の中でも特に愛していたそうですが、それがよくわかりましたよ。 中学校を出ながらも、没落した家の呪縛のせいで高等学校にも行けず、田舎の小学校で教師をすることになった清三は、失望の念を抱きつつ、友に嫉妬したり、羨望したり、「いや、今に見ておれ」と大志を抱いたりしながら、結局は段々と日常の中に埋もれていく……といった話です。 清三が廓狂いになってからの後半は、貪るように読みましたね。 結末をどうしても示唆しなければ感想が書けないのがつらいところですが、まあちらりと書いておくと――勇ましく歴史に名を残すのもいいですが、清三のような透明な諦観の中に静かに沈んでいきたいなあ、と思わされました。 逆さまのヒロイズムですが。 花袋の今作での文体は、季節季節の動植物の様子を中心とする情景描写が執拗なまでに書かれているんですが、最初は少しうるさく感じますが、結末に近づくに従って、その描写は透明度を増すように思われます。 そして結末を読み終え、頁を伏せると、白々明けの澄み切った空気の中に立っているような、静かな感動を呼び起こされます。 スキャンダラスな『蒲団』と対照的に静かな『田舎教師』――この両傑作を読んだだけでも、花袋恐るべしなことがわかりますよ。 岩波文庫の『時は過ぎゆく』と『温泉めぐり』も買ったので、しばらくは固いお蒲団の世界に浸ろうと思う所存。

蒲団

固いお蒲団(ⓒ花子とアン)、もとい、田山花袋の『蒲団』を結構前に読んでいたのである。 それから花袋にハマったわけで。 自然主義文学の何たるかもよくわからん私、理念が先走りしたなんだかしかつめらしい物かと思っていたんですが、これは面白いですよ。 主人公である妻子持ちの文士・時雄が、女弟子である芳子に一方的に懸想し、しかしそれを表立っては勿論言えませんから、悶々としていたところ、芳子に恋人ができ、嫉妬の焔が燃え上がり――というお話です。 私、性格が悪いもんですから、とにかく時雄に感情移入してしまいまして、「芳子みたいなスベタは死にくされ!」ぐらいの勢いで読んでいました。 で、色々と保護者然とした態度を表面的には取りつつ、芳子の恋路を時雄は邪魔するわけですが、「時雄がんばれ!」と手に汗を握りつつ読んだわけで。 まったく自然主義文学も何もあったもんじゃない邪道の読み方だと思いますが、ここまで主人公に感情移入できるということは、『蒲団』が優れた文学である証でしょう。 いやあ、戦前の文学(純文学も、探偵小説も、怪奇幻想文学も)ってほんといいですね! 戦前文学の鉱脈を掘り下げても掘り下げても、まだまだ底が見えませんわ。 楽しいわ~。 で、今はゴーゴリの処女作『ディカーニカ近郷夜話 前後篇』を挟みつつ、『田舎教師』を読んでおるところです。 あ、ゴーゴリも好きなんですよ。 機会があれば、ブログに書きたいと思います。 では~。

剛腕

遂に買っちゃいました……プロテインを! 去年の6月から、中年太り対策に筋トレを再開して、だいぶん締まってきたんですが、いまいちガッチリ感が足りない。 ので、プロテインを筋トレ後と朝に飲むことにしたのです。 これで、剛腕ラリアットを繰り出せるような身体を作ろうと思います! しかし、一体私はどこへ行こうとしてるのでしょうね……?

帽子

マンガってほとんど読まないけど、語ってみるか、ヒマだからな! という前ふりでほとんどわかったかもしれませんが、上野顕太郎氏(以下うえけん)のファンです。 全作品――と言いたいところですが、『ゲームびと公式ガイド』以外の単行本を持ってます。 で、コミックビーム連載中の『夜は千の眼を持つ』も全巻買ってるんですが……感想は、うーん、複雑。 『帽子男は眠れない』&『帽子男の子守唄』、『ひまあり』の1巻、『あささわDX』で大笑いした自分にとっては、のれないんですよね。 パロディネタが多くて、あんまりマンガを知らない自分にはマニアックすぎてついていけない、というのもあるし。 マンガなのに「強い言葉、弱い言葉」とか日常の重箱の隅をつつくようなネタを持ってくるのが好きだったんですが。 うえけん氏も確か言ってたと思うんですが、『夜千』は『あささわ』の系譜に連なるものだと思うんですけど、正直『あささわ』のほうが(以下五字略)。 うえけんさん、どうか昔の作風に戻って! って言ったら怒るだろうなあ。 うえけん氏の画力と実験精神とこれこそギャグだという感覚をすべてぶち込んで、『夜千』を描かれているわけですから。 それでも、オールドファンは昔を懐かしがるものなので……すみません。 昔のうえけんって? と思った方は、上に挙げた4冊を古書店で買うべし! それと、近作では『さよならもいわずに』も傑作ですよ、ギャグマンガではないですが。 あ、怪奇系のマニアの方には、『帽子男は眠れない』所収の『スズキ』と『豆腐屋』は最高のホラーだと思いますので、ぜひ! もしも自分が売れる物書きになれたら、うえけん氏とスプリットで本を出したいなあ、と昔から思っていたことは内緒です。

修行

去年からしこしこ短篇を書き溜めていますが、今年ももしかしたら雑誌に掲載されるかもです。 正式に決まったら、告知しますんで。 といっても、すっかり探偵小説は書かなくなり、怪奇小説ばっかり。 短篇は苦手なので、編集者さんに見せても、3作に1作くらいしか物になりません。 先日も今年書いた2作の短篇を、バッサリ斬られてきましたよ。 それでも、修行のつもりで、書き溜めていくのです。 久しぶりにブログを開いたので、もっと書こうかと思いましたが、眠いので寝まーす。

暗殺

そういえばこの前、気になっていた『日本暗殺秘録』を借りてきて観ました。 これは、井伊大老暗殺に始まり、日本近代史における暗殺事件をオールスターキャストで映画化したものです。 といっても、ストーリーのほとんどを占めているのは、片岡千恵蔵と千葉真一による血盟団事件の顛末で、他の事件はそれぞれ5分くらいずつしかありません。 文太兄イと健さんも出てきますが、まあ顔見せ程度ですね。 健さんは陸軍将校の役で、軍務局長(だったと思う)を暗殺するんですが、どう見ても面構えと立ち居振舞いが、昭和残侠伝か日本侠客伝といった感じで笑えます。 ともあれ、いささかキワモノ気味ながら、楽しめましたよ。 機会があれば、ご覧あれ。 ではでは、またんご。

異常

どもども。 最近、駄ブログを放置気味の倉野です。 しかし、久しぶりにGoogleアナリティクスを見てみたら……、なんかアクセスが異常な増え方してはるんですが。 今までは日に5人来ればいいほうだったのに……。 何がジェーンに起こったか? そもそも面白いことは書かないし、炎上するような攻撃的なことを書いた覚えもないし。 しかも、続々と駄ブログに流入してる人は、みんな市区町村ではnot setというね。 正直、恐いです……。

複雑

メタリカ好き! バンドT好き! ユニクロもたまに買い物するから、まあ好き! ……しかし、その3つが合わさっても、必ずしも「好き! ほしい!」にならないのは何故? いや、さっきユニクロのサイトを見てたら、ユニクロからメタリカのTシャツが発売されることを知ってしまったんです。 しかし、どうにも食指が動かない。 理屈じゃなくて。 たぶん買わないんだろうな……。 これよりも、ユニクロから出るミッフィーTシャツに、大人サイズも用意してほしかった、それなら買うのに! ってのが本音だす。 ではでは、またんごだす。

炎症

怪奇探偵小説界のBolt Throwerこと倉野氏は……いや、Bolt Throwerだとキング・オブ・マイナーって感じでおこがましいな、もとい、怪奇探偵小説界のNuclear Deathこと倉野氏は、奇妙な疾患に罹ったのである。 ……前立腺炎。 といっても、性病ではありません。口を酸っぱくして言っておきますが、性病ではありません。 なんか会陰部がもぞもぞするので、尿道炎を疑って泌尿器科に行ったところ、 「何かそういった病気に感染するチャンスはありましたか?」 と訊かれたわけである。遠まわしに厭な訊き方だな。 倉野氏、そこは決然として、「Nein !!」と。 「排尿痛はありますか?」とも訊かれたので、これにも「Nein」と。 すると、「あー、性感染症が移るチャンスがなくて、排尿痛がないなら、尿道炎じゃなくて前立腺炎だねー」と診断下る。 医師曰く、原因はストレスやら過度の飲酒、長時間座りっぱなしによる鬱血等々、よくわからんのだとか。 自転車に長時間乗る人も罹りやすいらしい。会陰部を圧迫するから。 「尿道炎なら抗生剤でバチッと治るんだけどね、前立腺炎はなかなか難しいね」と突き放され、抗生剤とセルニルトンを出されておしまい。 「まだまだ三月の風は寒いぜ……」と、泌尿器科帰りなのを悟られないように、革ジャンの襟を立てながら、仕事場に向かったのであった。 中高年になると、ほんと色んな病気に罹りますね! シモの病気には気をつけたいですな!

滑稽

やっと髪が伸びてきて、モヒカンに回帰しつつあるのである。 昨夜は久々に馬鹿馬鹿しいのが観たくなったので、『ショーン・オブ・ザ・デッド』を。 金曜の深夜にぼんやりとこの下らない(←いい意味ですよ)映画を独り観て、時々クスリと笑いながらも、「自分はこれでいいんだろうか……?」と思ってしまった不惑の男。 若人よ、決して週末の夜に、下らないコメディスプラッターを観て、ゲヘゲヘ笑っていてはいけませんよ。 こういう大人になっちゃいますよ。 では、これから『昭和残侠伝』を独り観ます(←全然懲りてないおじさん)。

極夜

サム・ライミ製作の『30デイズ・ナイト』観ました。 これは面白かった! まず、舞台設定がいいですよ。 アラスカ州の人間が住める北限の辺鄙な町には、冬になると30日間陽の目を見ない「極夜」が訪れる……ってだけを聞いても、ゾクッとしますね。 寒く、荒涼として、物憂い冬――まるで北欧のSentencedだかが言っていた、「アル中になるか自殺するしかない冬」って感じ。 そして、そんな町を狙って、吸血鬼の一団が襲来し、町は地獄絵図となるのです。 主人公たちは生き残れるのか?! という物語なんですが、舞台設定だけで75点はあげたい。 そして、主人公が仲間を救うために取った最終的な方法にも、「なるほど!」とニヤリとさせられたので、さらに15点追加! 全然期待していなかったけど、大満足の一本でした。 拙作の著者紹介には、編集者さんが書いてくれた「B級ホラー映画をこよなく愛する」という文句が入ってるんですが……実はここ数年ホラーを碌に観ておらず、多少面映ゆい気持ちでした。 探してみれば、まだまだハリウッド製のホラーも捨てたもんじゃないですね。 これからまた、ホラー道に回帰しようと思います。怪奇映画だけにな! では、またんご。

臓物

『死霊のはらわた』2013年リメイク版を先週末観ました。 う~ん、どうなんでしょう、これは……。 ミアというジャンキーの女性をクリーンにするために、兄や友人たちが山小屋に集まって――あとはもう予想通りの展開なんですが……全体的にトーンがシリアス過ぎやしませんかね? あまりに重苦しい雰囲気なんで、オリジナルのノリを期待した人は、完全に肩透かしを喰らうでしょう。 エンディングクレジットが終わった後に、オリジナル好きの人のために、ちょっとしたサービスがあるんですが……う~ん、これも蛇足気味。 物語本編のシリアス具合と釣り合いが取れていない。 本編がオリジナルに負けず劣らずハチャメチャで、それで最後のサービスシーンに繫がったら大喝采、だったかもしれません。 死霊のメイクというかCGも、あんまり好きになれません。 オリジナルのボロ包帯をグルグル巻きにしたような、粉をふいたような白っぽい死霊が秀逸だったんで、今回のは……。 クライマックスの雨のように降り注ぐ血には、「Slayerへのオマージュか?」といらんことを考えたり。 幸い、オリジナルの『死霊のはらわた 製作20周年記念盤DVD』を持ってるんで、今度見比べてみたいと思います。 一緒に借りてきた『30デイズ・ナイト』を今から観ます。 サム・ライミづいているので!

首領

『やくざ戦争 日本の首領(ドン)』、DVDで鑑賞しました! サニ千葉が登場して画面がピシと締まり、成田三樹夫の前髪パッツンと鶴田浩二で画面がピシピシ、文太兄ィでピシピシピシ、金子信雄でピシピシピシピシと画面引き締まりまくりです!! 一応実録物に分類される映画なんですが、それを無視するくらいのドラマツルギーが横溢しております(佐倉親分の娘の結婚式と並走して三浦組への壊滅作戦が描かれるところなんか)。 さすが中島貞夫先生、深作欣二氏とは同工異曲にはならんぞ! という意気込みが感じられます。 小池朝雄の愛人を惨殺された絶叫が、BurzumのカウントのVocalにそっくりだったりと、楽しみどころも多岐に渡っております。 いやあ、面白かった! 東映やくざ映画は奥が深いですわ。 最後に、一番記憶に残った台詞を掲げて終わりとします。 「アホンダラ! お前みたいな奴に日本、日本言われたら、日本泣くわい!」 ではでは、またんご。

乱脈

昨日、今年一本目の掌編を書き上げて、編集者さんに送りました。 例によって、池袋綺譚のひとつです。 肝心の出来は……まあ、編集者さんの意見を拝聴するという形で、知ることになりましょう。 それはさておき、ずっと観たかった深作欣二監督の『仁義の墓場』を借りてきて、つい先ほど観終わったわけで。 深作作品は結構好きで観てるんですが、これはやっとレンタルしているのを見つけました。 『仁義なき戦い』シリーズが、筋目などお構いなしの乱戦の中で、一本筋の通った男気をキラリと光らせる作品なら、『仁義の墓場』は渡哲也演じる石川力夫の、任侠道も仁義もヘッタクレとばかりの無軌道極まるヤクザの後半生を描いた作品です。 タナトスに取り憑かれたかのような石川の、破滅に向かってただひたすら突っ走る破滅美ならぬ破滅醜は、見ていて不愉快極まりないです。 不愉快だから駄作、というのではなく、不愉快が極まった傑作なんですがね。 冒頭のインタビューシーンで、石川は幼少の頃は学問はよくできた、と言われているんですが、どこで道を踏み誤って、あんな狂犬病の野良犬みたいになってしまったんでしょう? で、主人公役の渡哲也、数えるほどしか台詞がないのが、無気味で面白い(笑) ♪しょう~ち~くばいっと。 深作作品であと観たいのは、二十年ほど前に深夜放送でやっていながら途中で寝てしまった『資金源強奪』と、『赤穂城断絶』ですね。 でも、兄が中島貞夫の『日本の首領』が面白かったと言っていたので、今度はそのシリーズを借りてみようと思います。 ではでは、またんご。

手拭

今日、手作りの手拭いコレクターの友達と飲むことになって、思い出しました。 わたし、タモリ倶楽部の空耳アワーで、手拭いをもらってたことを。 それももう20年ほど前、まだ学生だった時です。 CARCASSの曲で挑んだんですが。 私の記憶が確かならば、これが空耳アワーでデス/グラインド系のバンドが採用された最初です! Vが流され、安斎さんが「もう一回聴きましょうか」的なことを述べたんですが、タモさんが苦い顔をして「もう聴きたくない!」とおっしゃったのが、印象的でした(笑) ラウド系のバンドの曲が空耳アワーでバンバン流されるようになった現在からは、隔世の感がありますね。 と、ふと思い出し、今日は手拭いを持参し、その友達に自慢した次第です。 ではでは、またんご。

気力

また性懲りもなく、禁煙しているのである。 今回の禁煙は、一日目から、ひどい離脱症状がきましたよ。 頭痛、嘔気、目眩、そわそわ感……etc. 大体二、三日経ってから、ぐわっと離脱症状がくるのがこれまでのパターンだったので、些か戸惑いを覚える私。 ま、気力で乗り切るから、大丈夫! それはそうと、別冊文藝春秋とつんどくが今年から合体し、別冊文藝春秋が完全電子雑誌となることが、Facebook等で発表されましたな。 また載りたいな~、と物欲しそうな眼で指をくわえる倉野氏なのでした。 まあ、駄作を書かせたら右に出る者はいないと言われる、ノトーリアスな倉野氏ですが、担当さん曰く、短篇の腕も上がってきたそうなので、別冊にも殴りこみをかけられるんじゃないかと期待する毎日です。 ではでは、またんご。

迎春

謹賀新年 私の駄ブログを読んでくださってる方々、本年もよろしくお願いいたします。 今年は執筆によりいっそう力を入れ、池袋綺譚の短篇を量産し、皆様にひとつでも多くの作品をお届けできるよう、がんばる所存であります。 正月休みも暇を見て、新しい短篇を執筆しております。 よっしゃ、今年はやるで~! ではでは、またんご。