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解説

田山花袋『重右衛門の最後』を読み終わりました。 が、解説でむらむらと不愉快な気分に。 曰く「花袋は芸術的才能がないのに、芸術家に憧れる、文学青年そのものだった」等々、花袋を散々にこきおろしているのですよ(結びで、申し訳程度に「花袋のような人がいなかったら、西洋近代文学は我々の物とはならなかっただろう」とは言っていますが)。 こんな解説を読ませられて、『蒲団』に『田舎教師』に熱狂した私はどうしたらいいんですかね。 大体、文庫に解説なんていらないという主義なので(書誌的なデータを豊富に載せた解説は歓迎するところですが、解説者の主観でだらだらと作品を読み解く、みたいなものは、読後感が損なわれるので読みたくない)。 私的には、田山花袋は知性という面では、他作家に一歩劣るところはあるかもしれませんが、現代になっても色褪せない傑作をものした「芸術的」大作家に違いはありません。 清澄な情景描写、時に露悪的なまでの心理描写、これを「芸術的な」作家と言わずして何と言う! 解説した福田恆存、今度会ったら覚えとけよ!