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苦味

小津の遺作『秋刀魚の味』を二十年ぶりくらいにDVDで再見。 まあ、話は小津映画定番の「娘を嫁にやる父」の話なんですが。 コミカルな味と哀しみが絶妙にマッチしています。 漢学の先生で、今は支那そば屋の親父に落ちぶれている東野英治郎と、行き遅れた(死語)娘の杉村春子の親子が何とも言えない悲しさを漂わせ。 一方、加東大介と笠智衆のトリスバーでの「日本がもし戦争に勝っていたら」という馬鹿話にはクスリとさせられます。 やっぱり加東大介は、コミカルな役をやらせたらうまいね。 笠智衆の末の息子が三上真一郎(『仁義なき戦い』の新開組組長ですよ!)なのも、ポイントが高い。 一点惜しいなと思うのは、岩下志麻がヒロインにしては今ひとつ存在感が立っていないことでしょうか。 やっぱり、同じような役を数々務めた原節子の存在感には劣るかな……うーむ。 しかし、同工異曲的な筋立てで、しかも淡白な物語ながら、しっかり魅せる小津安二郎の手腕には脱帽です。 またレンタル屋に通おっと。 では、またんご。

打破

2014年も、残すところ少なくなってきましたな。 金曜に新しい37枚の掌編を脱稿し、担当さんに送りました。 12月に担当さんとあって、6月に渡した短篇共々、打ち合わせをする予定だす。 「つんどく!」に掲載された短篇『双子』で、雑誌掲載にすっかり味をしめたので、また何かの媒体に載ればいいなと思っとります。 そして……数年前に脱稿し、ペンディングになっている夷戸シリーズの新作長篇『弔い月の下にて』の状況がどうなっているのかも、担当さんに突っ込んでみたいと思っとりますわ。 年末に状況を打破する、いいニュースが聞きたい倉野氏なのでした。 では、またんご。

悲哀

また発表するあてもない怪奇短篇を書いておる倉野氏なのである。 いえね、一応物書きな以上、修行の一環としてこつこつ書いていかねばなあと思っておるわけで。 また精神医学ネタの怪奇小説ですよ。 どこかに出せればいいけれど、たぶん未発表のまま打ち捨てられると思う。悲しい。 でも書くのである。 こつこつしこしこ書くのである。 あ、そういえば、ちくま文庫版『森鷗外全集2巻』が品切れで、どうしても読みたかったので、初めてAmazonのマーケットプレイスというところで買ってしまった。 収録作の長篇『青年』は既読だったけど、その他の一筆書きで、すっと書いたような短篇に魅了されました。 やっぱ鷗外は短篇が面白いや。 さて、話は戻って、もし未発表の短篇がたまったら、Web上にでも公開しようかと思っています。 どうなるかわからぬけど。 では、またんご。

巨星

ふー、小宮豊隆著『夏目漱石』を読了。 上巻はいまひとつ乗り切れず、中巻では「倫敦時代とその直後の漱石は決して精神病者ではない」という説に苦笑しましたが、『猫』を書いて作家として出発した以後は、すこぶる楽しく読めましたよ。 人生、生と死、その他もろもろの人間にまつわることに思索を巡らし続け(まあ、小宮氏の解釈なんですがね)、作品に織り込み続けた漱石には、やはり敬服せざるを得ません。 中巻の解説でも触れてある通り、小宮氏はもうちょっと妻鏡子さんの肩を持ってやってもいいんじゃないか、とは思いましたが(漱石は決して一時的に精神錯乱に至ったのではなく、周りの無理解が悪かったと説いている点で)。 小宮氏をはじめとして、森田草平、鈴木三重吉などの初期からの弟子が、漱石を理解せず、彼から次第に離れていった点を厳しく自己批判している点は、好感が持てました。 文壇という宇宙で夏目漱石は今も光彩陸離たる巨星です。 私などは宇宙空間に漂う塵にも等しい存在ですが、思索し続けるという姿勢、精神の高みへと歩み続ける姿勢を少し見習わねばな、と思わされました。 と、被影響性の高い倉野氏なのでした。

出羽

イメージ
公私にわたる最近の鬱屈から抜け出すために、金曜夜に新幹線に飛び乗ったわけで。 行先は、後輩が住む山形。 2年前に山形に行った時は、山寺を観光したので、今回は思いつきで米沢城観光と洒落込みました。 ノリノリで上杉神社に参詣する倉野氏。 あ、今は私、モヒカンではなくクリクリ坊主です。 しかし、引いたおみくじが最悪だった……。 末吉で、悪いことばかりしか書かれてない。 気を取り直して、米沢牛!! DarkthroneのTシャツを着て、米沢牛のステーキを頬張りました。 後輩一家にはよくしてもらったし、空気はうまいし、やっぱ山形はいいところや~! 構想だけ纏まっていて、手をつけずにいた短篇を執筆する気力が湧いた倉野氏でした。 出羽、またんご。

古書

神田古本祭り最終日に行ってきた! すごい人出でした。 『ちくま版鴎外全集2巻』と、ヴィルヘルム・ライヒの『性格分析』を狙ってたんですが、出会えず……。 質素に缶珈琲を飲んで帰ってきました。 いやー、背表紙をずっと見てたら目が疲れた。 今度は人出があまりない時に、また出直すかな。 では、またんご。