淡々
衝動的にTwitterを始めたんズラ。 な、何を今更って感じですが。 それはともかく、鈴木三重吉の中篇『桑の実』を読み終わりました。 すごい、三重吉すごい! ある離婚した絵描きのところへ、住み込みで女中に入った「おくみ」という女性の話なんですが、とにかく淡々と平淡に日常が綴られていく中、ほんのりと情感が迫ってくる。 初期短篇集『千鳥』とは違い、幻想味を排した上で、平淡な話を見事に成立させているのだから、三重吉の力量のほどが知られます。 後に誰でもが知っている童話作家へと三重吉は転身するわけですが、こういう小説を書き続けてほしかったなあ。 昔、新潮文庫から出た『赤い鳥傑作集』を持ってて、あの雑誌の充実ぶりはよく承知していますが、それにしてもちょっと惜しいな、と思ってしまいました。 『桑の実』、お薦めです。 次は光文社文庫から出た岡本綺堂の『女魔術師』を読みます。 ところで、中公文庫から出ていた岡本綺堂読物集の第六巻『異妖新篇』はもう出ないんですかねえ。 刊行間近のアナウンスがされてから、一年半は経っていると思いますが……。