螺子

♪新作出さない物書きは後ろの山に棄てましょか
 いえいえ それはかわいそう

それはおいといて、創元推理文庫からヘンリー・ジェイムズの古典的名作『ねじの回転』新訳版が今さら出ているのに気づき、買い求め再読。

いや、あっという間でした、読み終わるのに。
新潮文庫版を二十年くらい前に読んだ時は、正直「ふーん」くらいの感想しかなかった気がするんですが(変わった話だなあとは思った)、新訳版は頁をめくる手が止まりませんでしたね。
極上な感じで幻惑されました。

これから読まれる方のために種を明かすのはやめますが、というか、何が種だったのかもよくわからないという不思議な逸品です。

百年以上前に書かれた作品ですが、ちっとも古びておらず、むしろ主人公の感情が生々しく、過剰なまでにひりひりと伝わってきます。
偉大な才能というのは、凄いもんだな。

これは新潮文庫版と読み比べて、ちょっと比較してみるか、ヒマだからな!(©上野顕太郎氏)と思い、雨に濡れてガビガビになっていた古い新潮版を捨てて、改版の物を買ったのですが……ただ活字が大きくなっているだけではなく、表紙が変わっていた……。
しかもなんか漫画チックなイラストに。
こ、これは……作品が持つ格調とそぐわないのでは?

東京創元版にはジェイムズの怪奇短篇も併せて収録されているので、今から読むのが楽しみ。

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