平凡

二葉亭『平凡』(岩波文庫)を数日前に読み終わりました。

ある文士の懺悔録めいた物語です。
二葉亭の長篇小説の中でも、最も平易な文章で書かれており、これが一番取っつきやすいかもしれません。

しかし、その内容たるや、世間一般の文士、文学者に対する嫌悪が充ち満ちております。
実生活に深く根差さない、思惟の中だけで生きているような芸術家のことを、二葉亭は大嫌いだったようで。

私小説としても読めるのですが、偽悪家かと思われるほど露悪的に主人公は己のダメさを書き連ねております。

あ、主人公の子供の頃の愛犬「ポチ」に関するエピソードは悲し過ぎます。
その点では、犬好きの方にはお勧めできません。要注意。


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