黄昏

最近、佐藤春夫をよく読んでいたので、『佐藤春夫怪異小品集 たそがれの人間』(平凡社ライブラリー)にも手を出してみました。
なかなか面白く読めた。

名高い『化物屋敷』は傑作であることは間違いないですが、『「鉄砲佐平次」序にも一つ』がよかった。
特に後半の話は、怪異譚かと思いきや、急転直下、女工哀史的な話に落ちるという佳品。
それと、『魔のもの』のオチのつけ方は、現代の怪談話にも脈々と受け継がれているなあと、ニヤリとさせられました。

第三章「文豪たちの幻想と怪奇」に収められているものは、特に怪奇とは関係ないですが、これはこれでよし。

それと、『志賀直哉随筆集』(岩波文庫)も読み終わった。
志賀直哉の随筆は、動物に関するものが特にいいですね。
中でも『盲亀浮木』の「クマ」の項なんか、素晴らしい!

第四章の「師友回想」も興味深く読めました。
芥川のことを記した『沓掛にて』で、「有島武郎の自死を知ったときは腹立たしさが先に立ったが、芥川の死は『仕方ない事だった』という気持ちだった」というのは、深く頷けます。
志賀直哉好きならお薦めの一冊です。

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