同志

年中バンドTを着ている倉野ですが、たまに見知らぬ同好の士に話しかけられることがあります。
以下の話は、昔々某掲示板に出入りしていた時に書き込んだことがあるので、過去ログを漁れば出てくるかも。

もう10年ほど前ですが、西武池袋線の練馬駅で、私は電車を待っていました。勿論バンドT、それもBurzumのを着て。
すると、ホームにいた若い外国人の男性の方が私のTシャツを見てニヤリと笑い、近づいてくるではないですか。
咄嗟に思ったのは、「やべ、アンチ・クライスト系のバンドだから、因縁をつけられる!」

しかし、その方は流暢な英語で「いいTシャツだね。僕はそのバンド好きだよ。ところで、武蔵藤沢に友人が住んでいるんだけど、どう行ったらいいの?」と。
ここで私の恐怖は氷解し、すぐに打ち解けて、「所沢まで行くから、途中まで案内してあげるよ」ということになりました。

訊くと、彼はドイツ人だそうで、こっちは拙い英語で一生懸命会話しました。
ちょうどサッカーのワールドカップでドイツが決勝進出していたので、「おめでとう」と言うと、「僕はサッカーには興味ないんだ」と意外な答え。
「他にどんなバンドが好き?」と訊くと、「Mardukが大好き! テクニカルなブラックメタルが好きなんだよね~」とのことでした。
「日本ではブラックメタルは人気があるの?」と問われたので、「最近は結構来日してるよ。Impaled NazareneとかMardukも来たし」と答えると、「すげえ! 日本ではブラックメタルがホットなんだな!」と幾分誤解したので、「いやいや、まだアンダーグラウンドだよ」とたしなめました。

「僕はまだブラックメタル系のライヴに行ったことがない」と嘆息すると、「面白いぞ~。血を飲んで、火を噴くからな!」とガハハと人懐っこそうに笑ってました。
「ダイナモ・オープン・エア(オランダで開催されるメタル系の一大フェス)に行ってみたいな」と言うと、「僕は行ってきたよ」とリストバンドを誇らしげに見せてくれて。

で、「日本に来て君みたいな人に出会うとは思わなかった。是非写真を撮りたい」とのことなので、人差し指と小指を立てるメロイックサインで車内で記念撮影。
すると「君は日本人なのにピースサインしないんだな」と不思議そうに言うので、「悪魔主義者はこうでしょ」と笑うと、「Great! Hornhead!」としきりに感心していました。

当時も私はモヒカンだったんですが、「そのパンクな髪はいただけない」とこぼしてました。
「ええ~、ナパーム・デスとかグラインドコアは聴かないの?」と問うと、「ネイパム・デス」と発音を直される始末。

そんなこんなで音楽談義に話が尽きず、いつの間にか所沢に着いてました。
彼は「楽しかったよ、ありがとう」と言って握手を求めてきて、今まで英語で話していたのに、急に早口のドイツ語で何やら囁いたのです。
「なんて言ったの?」と問い返すと、「Please Hail Satan」と答えたので、思わずこちらも爆笑してしまいました。

今でも残念なのは、そのドイツ人の彼のメールアドレスを訊かなかったこと。
訊いていれば、国際交流がさらに展開したのになあと残念至極。
でも、彼のアルバムにモヒカン頭でメロイックサインの私が写っているかと思うと、今でもちょっと微笑んでしまいます。

ちなみに、Burzumの発音は諸説あるようですが、その彼は「バーズム」と普通に発音していましたよ。

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