評伝

漱石門下四天王のひとり、小宮豊隆が書いた、評伝『夏目漱石』を読んでいます。
小説でも随筆でもないものを読むのは、いつ以来だろう。

で、暇を見て、上巻のほとんどをつらつら読み終わったんですが……うーん、複雑な心境です。

小宮センセイが漱石を崇拝しているのはよくわかるんですが、あまりにも謹厳、高邁な思想を持った人物として描かれているので、些か辟易してきます。

特に、若い頃の漱石が、友人子規に、義太夫口調や講談口調で洒落て手紙を書いていたことを、「臭味や厭味に充ちて」いて、「趣味が幼稚」とまで言い切っているのは、何だかなあと。

むしろ、若き漱石は、そういった軽妙洒脱な江戸っ子気質を多分に持った、愉快な人物だった、と何故見られないのだろう。
敬愛する自分の漱石像には合致しないので許さん、ということなのでしょうか。

とにかく小宮豊隆の主観に縛られた、堅苦しい理想的解釈のオンパレードなので、中巻・下巻は、小宮の解釈は斜め読みして、漱石がこう言った、こう手紙に書いた、という史料的な部分を重視して読むことにします。

果たして読み通せるんでしょうか?
では、またんご。

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