蒲団

固いお蒲団(ⓒ花子とアン)、もとい、田山花袋の『蒲団』を結構前に読んでいたのである。
それから花袋にハマったわけで。

自然主義文学の何たるかもよくわからん私、理念が先走りしたなんだかしかつめらしい物かと思っていたんですが、これは面白いですよ。

主人公である妻子持ちの文士・時雄が、女弟子である芳子に一方的に懸想し、しかしそれを表立っては勿論言えませんから、悶々としていたところ、芳子に恋人ができ、嫉妬の焔が燃え上がり――というお話です。

私、性格が悪いもんですから、とにかく時雄に感情移入してしまいまして、「芳子みたいなスベタは死にくされ!」ぐらいの勢いで読んでいました。
で、色々と保護者然とした態度を表面的には取りつつ、芳子の恋路を時雄は邪魔するわけですが、「時雄がんばれ!」と手に汗を握りつつ読んだわけで。

まったく自然主義文学も何もあったもんじゃない邪道の読み方だと思いますが、ここまで主人公に感情移入できるということは、『蒲団』が優れた文学である証でしょう。

いやあ、戦前の文学(純文学も、探偵小説も、怪奇幻想文学も)ってほんといいですね!
戦前文学の鉱脈を掘り下げても掘り下げても、まだまだ底が見えませんわ。
楽しいわ~。

で、今はゴーゴリの処女作『ディカーニカ近郷夜話 前後篇』を挟みつつ、『田舎教師』を読んでおるところです。
あ、ゴーゴリも好きなんですよ。

機会があれば、ブログに書きたいと思います。
では~。

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