温泉

梅雨で雨ばかり。
こんな季節、傘を地面に水平に持って振りながら歩いている人を見ると、わざと近寄って当たりに行く、性格の悪い倉野です。

さて、田山花袋による温泉紀行『温泉めぐり』を読了しました。
面白かった!
山巒、というのが本書の最頻出単語なんですが(はーい、ここ試験に出ますよー)、明治時代で交通も不便な時代に、花袋はよく山の温泉を巡ったなあと感心してしまいます。
関西以東の温泉を中心に、有名無名取り混ぜて、ほとんどの温泉が網羅してあります。

で、山巒、嵐気が頻出するように、花袋は山の中にある温泉が好きなんだろうな、と思いつつ頁を繰っていると、最後の最後になって、すべてをひっくり返しにかかります。

曰く、「しかし何と言っても、温泉は別府だ。九州ばかりではない。日本でもこれほど種類の複雑した、分量の多い、それでいて、海にも山にも近く、平民的にも貴族的にも暮らせる温泉はまア沢山はあるまいと思われる。別府に比べたら、伊豆の熱海や伊東などは殆ど言うに足りない」と。

いやあ、花袋さん、それは言い過ぎじゃないの~? と九州人である私などは思ってしまうんですが。
同じ九州でも武雄温泉を「俗だ」と吐き捨てるように言う花袋氏ですが、別府ほど俗な温泉はないと思うんですがねえ。

ま、そんなこんなで花袋氏による極めて主観的な温泉評を微笑ましく読むことができる本書は、温泉好きには必携です。
特に、好きな温泉がある人は、田山花袋の評に頷くかどうか、そこも見所だと思われます。
私は年末年始はいつも二日市温泉(旧名・武蔵温泉)で過ごすんですが、花袋に褒めまくられているのを読んで、嬉しくなってしまいました。

花袋づいている私、次は『時は過ぎゆく』を読んでいます。

と、ここまでいつものように読書記録を書いていて、ふと、「こんなの読書メーターかブクログにでもひっそりアップしてればいいんじゃね?」という考えが浮かんできた。
そうだね!

コメント

  1. I am curious about Katai Tayama, but long time I have been not read his works never.
    From your post, influenced me, so I will try out his famous titled 'FUTON' now on.
    Thanks for your new essay very much.

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    1. Thanks for your comment !! There is no doubt that FUTON is the masterpiece of Japanese literary world. Enjoy it ! (Sorry, I'm not good at English.....)

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