煤煙

十日前にひいた風邪が一向によくならず、ひいひい言っています。
病院に行ったのに、補中益気湯なる漢方薬を処方されただけだった……。
当然まったくよくならず……。
これはもう抗生物質さまのお手を借りるしかねえ。

で、久々に読書の話題。
岩波から出ているモーパッサンの短篇選を読んで面白かったんですが、新潮から三巻物の短篇集が出ているのを知り、そっちも買った次第。
で、田舎を題材にした作品を集めた第一巻を読み終わった。
驚くほど小噺チックな軽い作品が多いので、「文豪モーパッサン」という勝手なイメージが裏切られました。
「この人って、サラサラっと書き飛ばすタイプの人だったのね」と。
印象に残ったのは『海上悲話』。
漁師がトロール船の綱に腕を巻き込まれて――って話ですが、電車内で読んでて本気で気分が悪くなりましたよ。

今読んでいるのは森田草平の『煤煙』。
漱石や百閒の作品でその存在は知っていましたが、「どっかが復刊してくれねえかなあ」と思っていたら、岩波が出してくれました。
平塚らいてうとの道ならぬ恋を小説化し、世に言う「煤煙事件」を巻き起こした、スキャンダラスな作品です。
まだ最初の六十頁くらいしか読んでいませんが、面白いっす。
師走の日々を煤煙と共に過ごそうと思います。

え? 「おまえはちゃんと執筆活動をしているのか」って?
いやあ、私はもう過去の人ですから。
「著作を昔出版した」という思い出を抱いて生きていこうと。

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