銀河

昔から、不意に変なことを思いつく人間でした。

うちはキャンプに行くような家ではなかったので、小学校高学年の頃は野営というものに強く憧れていました。
そこで考えついたのが、「庭で寝る」。
といっても、結構本格的なもので、古いカーテンか何かで天幕を張って、その中に寝ました。

その即席野営で今でも思い出になっていることがあります。
ひとつは、暑さで目が醒めて、天幕の中で横になっていると、庭を歩くような音がしていました。
恐らく、猫が歩いていたんでしょうが、暗闇でその音を聞いていると、もっと大きなもの、例えば幽霊が歩き回っているようで、ぞっとしたのを憶えています。
暗闇の中で聞こえる音に恐怖する、という原始的な体験ができたのは、いい思い出です。

もうひとつは、天幕から顔を出してみたら、美しい天の川が見えたこと。
福岡市からほど近いベッドタウンでも、三十年くらい前には天の川が見えました。
初めて見たんですが、あまりの美しさに息を呑んだことを憶えています。
じっと天の川を見ていると、流れ星が幾つも降っていました。
今でもあの時に見た天の川と流れ星が脳裡に浮かびます。

藪蚊には悩まされましたが、楽しい野営でした。
確か、野営気分を最後まで盛り上げるために、朝御飯を庭に運んでもらって、古カーテンの天幕の中で食べた記憶があります。

今では福岡でもよほど田舎に行かないと、天の川なんて見られないんでしょうね。

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