読書

実はプライベートでは、まったく推理小説を読みません。
担当編集者さんに、本を頂いたときはさすがに読みますが……。

なので、現在の推理小説界の動向などもよくわかっていません。
勉強のために、売れ筋の推理小説ぐらいは読むべきかなとは思いますが、何しろ勉強のために本を読むのが苦痛で仕方ないという性分なので、結局読まず……。
まあここら辺が、創作にあたっての私の大きな弱点のひとつなんでしょう。

趣味の読書でも、基本的に亡くなった作家の本しか読まないです。
戦前の探偵小説は結構好きで読んだんですが……これも日本の物に限られるので、知識としてはいささか頼りない。
本棚を見てみると、洋物では新潮文庫のホームズシリーズ、それと創元のブラウン神父は全巻揃えてありますが、それだけ。
あ、火刑法廷と僧正殺人事件もあるな。
『スノウブラインド』で夷戸が言っている読書趣味は、多少誇張してありますが自分に当てはまります。

趣味で読んでいるのは、昔の純文学や怪奇幻想小説ですね。
最近は鷗外と志賀直哉とエドガー・アラン・ポーを楽しく読む毎日。
創元のポー小説全集の第三巻からは怒涛の名作ラッシュで、読んでいて「すげえー!!」と感心することしきりです。
志賀直哉は美しい情景描写と、一転して極度に内省的な心理描写がお気に入り。

創作のネタ探しには、カプランの精神医学教科書や昔の精神病理学論文集なんかを使っています。

しかし、何故自分は推理小説を読まないのか、と考えると、いまいち理由がわかりません。
別に他のジャンルに比べて文学的に下だと思っているわけでもないし。

小学生の頃は、ポプラ社の乱歩シリーズを耽読するというお決まりのコースでした。
それが中学に入ると途端に本を読まなくなり、大学入学で精神的に余裕ができてきたのか、読書をする習慣が復活したものの、ラヴクラフトなどの怪奇幻想小説のほうに魅かれていきました。
そうして、推理小説に回帰することはありませんでした。
『墓地裏の家』で美菜さんが言っている、「不思議は不思議のまま」で愛するという嗜好がいつの間にか根づいちゃったんでしょうか。

というわけで、私が書く怪奇探偵小説も、論理的展開とは程遠いものとなっています。
これじゃいかんなあ、とは思いつつも、勉強のための読書を嫌う自堕落な性格が災いして、今に至るわけです。

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