茶漬

たった今、小津の『お茶漬けの味』を観終わりました。

内容を簡単にまとめると、「お見合い結婚の末に冷え切った夫婦が、仲直りしてお茶漬けを一緒に食う」。
これでは身も蓋もないですね……。

名作である『東京物語』『麥秋』『晩春』あたりと比べると、出来はちょっと落ちますが、小津らしい味わいがあります。
佐分利信のもっさり感がいい。
そして淡島千景はやっぱりかわいい。

そしてクスッとくるところも多いです。
鶴田浩二に連れられて佐分利信が入るパチンコ屋(その店主は笠智衆)の提燈に、「甘辛人生教室」。
いやー、昔パチンコで身を持ち崩しかけた私としては、「そうなんだよなあ」と。
で、鶴田浩二の行きつけのトンカツ屋が「カロリー軒」。
この店名は、小津の他の作品でも出てくるそうですが、小津初心者の私はハマりました。

また、噓をついて女連中で修善寺に行った場面では、
木暮実千代「(夫である佐分利信を評して)鈍感よ。鈍感さん」
淡島「あんたうまいことを言うわね」
……いや、そんなうまかねえし。

以前は黒澤の全作品を観て、断然クロサワ派だった私ですが、小津の世界にも段々はまってきました。

佐分利信「お茶漬けだよ、お茶漬けの味なんだ。夫婦はこのお茶漬けの味なんだよ」

……しみるねえ。とりあえずこんな時間だったので、ふたりがお茶漬けをうまそうに食ってるのを観て、腹が減りました。
お茶漬けでも食うかな。
独りで……。

コメント

このブログの人気の投稿

播摩

再開

悲惨