改行

岡本綺堂『西郷星』(光文社文庫)を読み終わりました。

気になった、というか、綺堂ファンには許せないことが。
旧仮名を新仮名にしたりはいいんですが、編集部からの一文に「大幅に改行を施しています」と。

……いやいや、施さないでくださいよ!
綺堂の文体がぶち壊しじゃないですか。

改行といっても、90%が一文ごとに行を変える芸のない物(何というか、現代の作家が書いた時代小説って感じかな?)。
文章がぶつ切りで、かえって読みにくいったらありゃしない。

光文社時代小説文庫には、綺堂の『狐武者』で、差別語を含んだテキストの改悪に苦言を呈しましたが、今回は「こう来たか……」と落胆しました。

岡本綺堂の未文庫化作品を積極的に文庫化してくれる、貴重なレーベルなので、どうか、どうか、オリジナルテキストのままで刊行していただきたい!

それからすると、中公文庫の『岡本綺堂読物集』は、漢字こそ常用漢字にしているものの、旧仮名遣いをそのままにしていて、綺堂の世界が堪能できたものでした(しかし、売れ行きが悪かったのか、刊行告知のあった『異妖新篇』は結局出ずじまいだったのが残念)。

ほんと、お願いしますよ。

あ、物語自体は「綺堂ここにあり」といった感じで、勿論よかっただけにね、一層残念。むむ。

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