心中

楠田匡介『いつ殺される』(河出文庫)も読み終わりました。
光文社文庫の『ミステリーレガシー』収録の『模型人形殺人事件』で彼を知り、このブログでも「もし他の作品が復刊されたら読んでみたい」と言ってたら、出ちゃいましたよ、河出さんから!

心中事件からの幽霊騒ぎが汚職事件へと繫がっていく、なかなか凝った作品です。
中盤までは作家の津野田と石毛警部、それに津野田の妻・悦子の小気味よい会話文主体なので、古さを感じさせずにすいすいと読み進められます。
で、いざ謎解きとなると、楠田匡介の悪い癖と言いましょうか、個性と言いましょうか、ゴタゴタしていてトリックの妙が読者に伝わりにくいきらいがあります。
(作者自身もあとがきで、トリックを盛り込み過ぎて、「少しゴタつき過ぎた感じである」と書いているから、自覚はあるんでしょうね)

しかし、六百枚以上の力作ながら、ストレスなく読ませる腕は確かなものです。
是非、楠田の初期短篇集も読んでみたいので、河出文庫さん、何卒よろしくお願いいたします。


コメント

このブログの人気の投稿

播摩

再開

悲惨