蛞蝓

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さて、中公文庫の『潤一郎ラビリンス 犯罪小説集』を読了しました。
谷崎を読むのは、『武州公秘話』『怪奇幻想倶楽部』『分身物語』に続いて4冊目ですが、これが一番面白かった!

乱歩に激賞された『途上』よりも、個人的には『柳湯の事件』が100点満点でした。
深夜の弁護士事務所に飛び込んできた絵描きの青年。彼は同棲する愛人との関係と、奇妙な犯罪を物語るーーという話なんですが、怪奇幻想臭が充満していてたまりません。
特に、深夜の柳湯の奇怪な雰囲気と言ったら!

また特筆すべきは、乱歩の盲獣の先を行く、触覚的快感を前面に打ち出していること。
ヌラヌラ、ベタベタしたものへの主人公の耽溺が、嫌悪と快さをもたらします。
怪奇幻想文学がお好きな方は是非!

『私』も、語り口の妙が探偵趣味を引き立てていて、goodです(この作品、前に何かのアンソロジーで読んだ気がするけど、思い出せない……錯覚かしらん?)。

『前科者』と『或る調書の一節』は生来性の犯罪者であるサイコパスも、実はこのような葛藤を抱いているのかもーーと思わせて、唸らせられます。

いやー、大満足の一冊でした。
次は乱歩『影男』を再読です。
では、またんご。

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