夢境 

眠れない頭を抱え、「えい、畜生」と明け方四時にマイスリー十ミリグラム錠を口に放り込む。
二時間半後、目が醒める。といっても、半睡半醒。

カーテンを閉めた映画館のような、階段教室のような薄暗いところで、近い席同士の人間と獣が一緒に何かしている。
私は、洋服を着た恰幅の良い豚と、七輪で焼肉をしている。
煙が他の人々の迷惑にならぬか心配しながら、相手の豚に声をかける。
「これじゃあ共食いだね」
豚は目をさらに細めて笑い、「イエ、最近はそうでもありません」

「何がそうでもないのだ」と内心不可解に思いながら、館内(?)が白々としてきたのは、七輪の煙のせいばかりではなかった。
カーテンの隙間から白い朝陽が差し込み始めると、恰幅の良い豚も、秘密めかした麒麟のおばさんも、霧みたいにどこかへ行ってしまった。

気づくと私はまだ、ベッドに寝ていた。
今見たものは、何かの小説本から抜け出てきた光景だろうか、とぼんやり考えた。

コメント

このブログの人気の投稿

播摩

再開

悲惨