愛憎

承前 
倉野投手は2004年に初めて導入されたパリーグプレーオフでも、絶体絶命のホークスを救う快投を見せました。
本人曰く、試合前は吐きそうだったと。その重圧をはねのけて、チームを勝利に導きます。
惜しくもプレーオフ最終戦でホークスは敗退しましたが、その快投ぶりは「谷間に咲く一輪の花」とも形容され、ファンの喝采を浴びたのです。

ところが……ここからが、今回記事の肝なんです。
それから引退までの2年間、倉野投手は思ったような成績を残せませんでした。
私は歯嚙みするような思いで、彼を見守ったものです。

そこで、私の精神に変質が生じました。
倉野投手を好き過ぎるあまり、「ホークス負けろ!」と呪詛するようになったのです。

どういうことかというと、倉野投手が活躍するには、勿論本人の快投が絶対条件です。
しかし、それが叶わぬ時には……? 周りの投手が打たれるのが、倉野投手にチャンスが回る最短距離となります。
そこで、「ホークス投手陣打たれろ!」がさらに嵩じて「ホークス負けろ!」とマイナス要素だけが凝固していったのです……。

ホークスは好きだが、倉野投手がいる限り、負けてほしい――このアンビヴァレントな心理!

確かに私は恥ずかしい。
これがチームのファンでなく、個人のファンである人の陥りやすい罠だとは、私もわかっていました。
しかし、しかし、わかっていながらも、その陥穽、修羅の道に私は足を踏み入れてしまったのです。
それは何故なら、私が倉野投手を大好きだから!

倉野投手を応援する過程でいつの間にか愛し始めていたホークス球団自体をも、私は日々呪詛し、投手陣を呪うという魔道……。
これは倉野投手が引退する日まで続きました……
この異常なファン心理!

これが私のホークスとの愛憎の歴史の顛末です。
やっと今は倉野コーチ(今はホークスの三軍投手コーチであります)のブログなどを冷静に眺められるほど更生しましたが。
更生したとはいえ、今でも倉野コーチには一目会ってみたいですけどね! ぐひひ。

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